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体験談「怪眠」

 自分は今までに何度か睡眠に関係する不思議な体験がある。

 それらの体験について自分では怪談やオカルトと呼ばれる類いの話ではないと思っている。

 気のせいや勘違い、或いは自意識過剰で済ませられる話だからだ。

 そんな睡眠に関する不思議な体験を書こうと思う。

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 自分がまだ実家に住んでいた大学生の頃の話。

 実家は団地の一角にある分譲マンションだ。

 少し複雑な家庭で、実家には三人兄弟で済んでおり、当時は長兄と末っ子である自分の二人で生活していた。

 自分の部屋を互いに持っているが、当時はリビングにあるソファーベッドで寝るのにハマっており、その日もソファーベッドで眠っていた。

 夢をみていた。

 夢の内容は細かく覚えていない。

 だが、目の覚める直前にみていた夢の内容は今も鮮明に思い出すことができる。

 目の前には小学校のプールとそれを囲う緑色のフェンスがあり、右側は林になっている。

 自分はフェンスに沿って林を背にするかたちで左の道を進もうと歩き出す。

 数歩進むと突然背後から今まで感じたことのない威圧感を感じ、振り返る。

 林の手前には繁みがあり、威圧感を放つ存在はその繁みの後ろにいることが分かる。

 明らかに自分に敵意を向けているのが伝わ
ってくる。

 なんとなく繁みの後ろにいるのは四足獣だと思った。

 嫌な気配がどんどんと濃くなり、また恐怖心も強くなり繁みから目が離せない。

 気配が風船のように膨らみ、繁みから何かが飛び出してくると思った次の瞬間。

 自分は目を覚ました。

 夢が夢なので心臓が早鐘を打つ。

 体は全く動かない。

 背後には夢で感じていたものと全く同じ気配がある。

 振り向くかどうか迷っていた。

 金縛り事態は何度か経験があり、指から徐々に動かせば解けるのを経験で知っている。

 怪談好きとしては初めて心霊体験が出来るチャンスだとワクワクする気持ちがある。

 だがやはり恐怖心には抗えず、振り向くのはやめた。

 このまま寝るのは無理なのでとりあえず金縛りをいつもの方法で解く。

 金縛りが解けると同時に背後の気配がなくなった。

 心が落ち着くまで数分待ち、振り返ると何もなかった。

 この家で心霊体験は誰もしていない。

 ただ、噂では実家の前の住人はリビングのカーテンにしがみついた状態で亡くなっていたのだとか。

 他殺ではないので老衰か病死だと思う。

 関係があるのかは分からないが別棟に住む友人は、幼少の頃にマンション内で子供の霊をみていたらしい。

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 社会人になり一人暮らしをしている。

 そんな中、また夢と現実が繋がる体験をした。

 夢の中で自分の前職である不動産の仕事をしており、その一貫で物件の下見に来ていた。

 玄関を開けると廊下とも言えないほどの短い通路があり、その先が居室となっている。

 室内はまだ内装工事中でその通路に床材が置いてある。

 部屋は1Rのようだ。

 いつも通り各設備の確認してまわる。

 その途中で何故かここが事故物件だと理解していた。

 その後、理由は忘れてしまったが自分は部屋から逃げようとしており、急いで玄関に向かった。

 何故か玄関は開いており、扉の上から人の顔がヌルッと現れた。

 自分はその顔を幽霊だと認識した。

 だが逃げ場が玄関しかないからか、自分はそのまま玄関に向かって走ろうとする。

 だが居室から玄関までの短い通路は床材が邪魔で上手く走れない。

 そう思っていたが、それが間違っているのにすぐに気がついた。

 足が重くなっており、徐々に上がらなくなり、力が入らなくなっていった。

 金縛りみたいだと思いながらもがいていると、目が覚めた。

 そして実際に金縛りになっていた。

 この時は気配は全く感じなかったのですぐに金縛りを解き、そのまま眠りについた。

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 最後の話は眠る直前、入眠時に体験した話だ。

 寝入るまでの間、ボーッとしていても無意識に思考が巡る。

 このパターンの時は稀に寝落ちの瞬間が分かることがある。

 無意識の思考が映像化すると寝落ち間近だ。

 無意識の映像をボーッと見ていると、映像に写る人物が金属バットのようなもので何か硬いものを思い切り殴りつけた。

 それと同時に左耳にカンッという大きな音が聴こえ、体がビクッとなった。

 明らかに現実感があり、物質的な音の感覚だった。

 その音は硬い金属で何かを強く叩いた時の音に似ていた。

 過去に二度だけこの体験をしているが、何故か二度とも左耳にのみ音が聴こえていた。


 実は先日、2022年11月11日午前0時5分頃にこれと酷似した体験をした。

 その夜はツレからラインの返信が頻繁に返って来るので通知音がうるさく、なかなか眠れなかった。

 そのため布団に入って時間は経っているが覚醒状態だった。

 そのため無意識の思考はしておらず、取り留めもないことを考えていた。

 すると右耳に突然シャキーンと言う言葉が聴こえてきた。

 声は小さくで棒読みで、声質は女性声優の出すショタボのようだった。

 耳元で聴こえたので、すぐに周りをみたが何もなかった。

 この声も現実感があり、物質的な音だった。

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 他にも睡眠関係の不思議な体験をすることがたまにあるので簡単に書くと「実際に確認するまで夢か現実か分からない夢をみたり、夢でみた場所と現実で遭遇したり、眠っていない状態で夢をみたり、目を閉じているのに周りが見えたり」と個人的に面白いと思える体験もある。

 以上が睡眠不足の自分が体験した睡眠に関係する不思議な話の全てである。


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