掌編怪談「皮革」
知り合いから人の皮で作られたというブックカバーを譲り受けた
いつ作成されたのか、本当に人の皮なのかも分からないが、なんだか妙に手触りが瑞々しい
それが気に入り、何年も使っていたのだが…
最近手触りが変わったように感じる
乾燥の影響かとも考えたが、油を使って丁寧に手入れをしているので考えにくい
夜な夜な虫やネズミにでも噛られているのかもしれない
それならばと桐の箱にしまう
翌日からしばらく忙しく、読書の時間をとれないため丁度いい
二週間経ち、余裕が出てきたので本を読もうと桐箱を開ける
中を見た私は状況をうまく飲み込めずに固まってしまった
短いがブックカバーから毛が生えていたのである
それも一本や二本ではない、まるで初めて伸びたの脛毛ように点々と生えていた
ふと頭に呪いの日本人形が浮かぶが、それとも全く異なる現象で気持ち悪い
呪いの日本人形を想起したためか、私は剃刀を持ってくるとブックカバーに刃を滑らせる
スーッと剃刀がブックカバーの上を走り、生えていた毛を剃り落とす
淡々と剃毛をこなしていたが、誤って剃刀を横に滑らせてしまった
すると切り口から血が滲み出した
私は桐箱の蓋を閉じると、剃刀と一緒に庭に埋めた
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