掌編怪談「光」
夜の峠道をドライブしていると後方に光が見えた
光源が一つしかないのでバイクだと分かる
かなり速度を出しているのか、光がドンドン近づいてくる
何故かハイビームのまま切り替えないので眩しくて仕方がない
俺を追い抜こうとしているのか、ライトが真後ろから右側に移動した
そこで違和感を覚えた
エンジン音が聞こえてこないのだ
今流行りのEVだろうか
そんなことを考えているとサイドミラーが少しずつその眩しさを増していき、一瞬にして光が見えなくなった
俺の車を完全に追い越し、距離が離されていく
目の前を走るそれはEVどころかバイクですらなかった
光源のない光
形ある光としか表現できないそれが夜の峠を駆けていった
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