掌編怪談「いろがみ」
子供の頃、いじめられていた
親がいない僕には信用できる大人がいなかった
誰にも相談できず、我慢する日々を送っていた
溜まったストレスは、ノートに思いや暴言を書くことで発散していた
その行いがいじめっ子にバレ、いじめが激しくなった
その日、僕は折り紙に願い事を書いた
いじめっ子が事故で大怪我をしますように
そう書いた赤色の折り紙をぐしゃぐしゃに丸めると、僕はソレを食べてしまった
自分でも驚いたが、気づけば飲み込んでいた
翌日、朝の会でいじめっ子が事故にあって半身不随になったと担任から告げられた
僕は内心喜んでいたが、同時に違和感を感じていた
しばらくして、その正体に気がついた
赤色が認識出来ない
赤いはずの物が白黒に見える
病院で色々と検査をしたが、原因は分からない
僕は思い付きで青色の折り紙に
また赤色が分かるようになりますように
と書いて食べた
翌日、赤色が分かるようになっていた
しかし、青色が分からなくなっていた
それで怖くなり、折り紙を全部捨ててしまったのを今でも後悔している
せめて金色なら日常生活に支障はなかっただろうに
新しく折り紙を買って試したが、願いが叶うことは二度となかった
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