掌編怪談「ケイドロ」

学活の時間

学期末と言うこともあり、レクリエーションと称してケイドロをやることになった

30人で行うケイドロは大いに盛り上がった

泥棒が全員捕まったので、警察を交代して2戦目に突入した

泥棒の私は早々に捕まり、牢屋に連行された

だが、進む方向がおかしい

捕まったら朝礼台の上で待機なのに、向かっているのは体育館

私は私でおかしな状況なのを頭では理解してるのに、素直に従っている

私はそのまま体育館の舞台下にある倉庫に入れられ、外から鍵が掛けられた

私以外は誰もいない

薄暗い、静かな空間

体育座りをして、小窓から漏れる光を眺めていた

キーンコーンカーンコーン

チャイムが授業の終わりを告げる

ハッと我に返り、ここから出ようと扉を引くがびくともしない

しばらく扉と格闘していると、外から私を探す声が聞こえてきた

窓から助けを呼び、先生が扉を開けてくれた

チャイムが鳴っても見つからない私を、クラス皆で探していたらしい

おかしな話だ

私は警察に連行されてここにいる

その子なら私の居場所が分かるはず

そうは言いつつ、私自身誰に捕まったのか思い出せない

改めてクラス全員の顔を見たが、私を捕まえた子が見つからない

そもそもこの扉に鍵はついていなかった

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