掌編怪談「鳴き声」
暑くなると、草むらからジーと言う鳴き声が聞こえてくる
子供の自分はどんな虫なのか気になり、草を掻き分けた
草むらにはバレーボールより一回り小さいサイズの白磁の壺が置かれていた
どつやら鳴き声は壺の中から聞こえてくるようだ
当時ハマっていたRPGの影響か、何も考えずに壺を地面に打ち付ける
割れた壺からは、ジーと書かれた紙が出てきた
壺を割ってから、ジーという鳴き声は聞こえなくなっていた
出てきた紙は、近所の空き地で飼われていたヤギに食べさせた
以降、その草むらでジーっという鳴き声を聞くことはなかった
近所のヤギはメェーと鳴かずに、ジーと鳴くようになった
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