掌編怪談「火災」

マンションで火災が発生した

上層階の住民が逃げ遅れ、6名の住民がベランダで救助を待っている状態

その為、はしご車による救助が行われることになった

隊員を一人乗せ、リフターが上昇する

バスケットがベランダに接近すると、隊員が住民に声をかける

だが、住民は動く素振りをみせない

しばらくやり取りをしている様子だったが、隊員が突然バスケットから飛び降りた

ベランダに侵入しようとして落ちたのではない

隊員は自ら命綱を外し、マンションと反対の方向に飛び降りた

隊員の行動を見た住民らが拍手をしている

その直後、皆一斉に飛び降りた

飛び降りた住民は皆助からなかった

隊員はリフターを転がる形で落ちていったので一命を取り留めたが、幼児退行をしているようだ

そのため、何が起きたのか分からずじまいでいる

飛び降りて亡くなった住民は、皆一様に満面の笑みを浮かべていた

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