掌編怪談「揺れる車」

深夜のドライブで海に来た

駐車場に他の車はない

潮風が心地いいので、浜辺で横になる

しばらくそうしていたが、寒くなってきたので帰ろうと駐車場に戻る

すると車が一台増えており、大きく揺れている

ヤってるのかと思い、こっそりと近づいて中を覗く

手足を拘束された人が、車内で激しくもがいていた

目と口にもテープが貼られており、唸り声が漏れ聞こえる

すぐに通報し、駆けつけた警察に事情を説明する

車の揺れは、いつの間にか収まっていた

警察が車中を確認し、窓を割る

車内には拘束され、目と口にテープが貼られたマネキンが横たわっていた

他には何もない

よく見ると車はボロボロでタイヤもパンクしている

どう見ても廃車だった

勘違いだったと警察に謝罪をして帰路についた

後日、その海に行くとあの廃車は撤去されていた

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