掌編怪談「卵」
ある村に、神の卵とされる大岩が祀られていた
卵が孵化すると新たな神が誕生し、世界を平和に導くと伝えられている
神様とはいえまだ卵
供物を捧げる必要はない
その代わり、大岩を囲うように火を焚いている
火を絶やさぬよう、村人は交代で火守する
火を絶やすと、孵化出来ずに神様が死んでしまうとのこと
そんな日々を過ごしていたが、突然の大地震が村を襲った
その揺れで大岩が真っ二つに割れた
ついに神様が誕生したと、村人が大岩に集まる
しばらくして、再び地面が揺れ始めた
なんだか様子がおかしい
ングヴヴヴヴ
と低い男性の唸り声のような音が、大岩の割れ目から聞こえてくる
次の瞬間
ウンギャァァー!!!
と言う絶叫が村中に轟いた
村人らは薄れゆく意識の中、これが産声なのだと理解した
産声は近隣の村にまで轟き、それを聞いた生き物は植物も含め全て死んでしまった
今でも村のあった土地に立ち入ると、泣き声が聞こえることがあるという
その声を聞いたものは、神の血肉にされるらしい
その土地は今でも植物が育たず、動物も寄り付かないようだ
ある村では神の卵と呼ばれる大岩が祀られていた
卵が孵化すると新たな神が誕生し、世界を平和に導くと伝えられている
神様とはいえまだ卵なので供物を捧げることはない
その代わりに卵岩を囲うように火を焚いている
火を絶やさないため、村人は交代で火守する
火を絶やすと羽化する前に神様が死んでしまうとのこと
そんな日々を過ごしていたが、突然の大地震が村を襲った
その揺れで卵岩が真っ二つに割れた
ついに神様が誕生したと村人が卵岩に集まる
しばらくして再び地面が揺れ始めるが様子がおかしい
ングヴヴヴヴ
と低い男性の唸り声のような音が卵岩の割れ目から聞こえてくる
次の瞬間
ウンギャァァー!!!
と言う絶叫が村中に轟いた
村人らは薄れゆく意識の中、これが産声なのだと理解した
産声は近隣の村にまで轟き、それを聞いた生き物は植物も含め全て死んでしまった
今でも村のあった土地に立ち入ると泣き声が聞こえることがあり、その声を聞いたものは神の血肉にされると言う
誰も供物を捧げないため、その土地は今でも動植物が少ないようだ
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