掌編怪談「双眼鏡」

とある展望台から海を眺めていた

平日ということもあり、自分以外に人はいない

そのせいだろうか

普段は見向きもしない双眼鏡にお金を入れて覗き込んだ

だが壊れているのか、向きが変えられず沿岸部を映すのみ

時間はまだあるが使えないので、別の双眼鏡にお金を入れる

向きを変えようと動かすがこれも壊れていた

先に確かめるべきだった

残念ではあるが折角なので双眼鏡を覗き込む

何故かさっきの双眼鏡と同じ沿岸部を映している

だが、それだけじゃなかった

海に巨人が立っていた

呆気に取られ固まっていると巨人は沿岸部に手をかけ、体を前後に揺さぶり始めた

その瞬間、何も見えなくなった

時間切れのようだ

もう小銭がないので目視するが遠すぎてみえない

アレは何だったのかと考えていると、スマホが鳴った

それの直後、地面が大きく揺れ始めた

揺れが収まると、ニュースを確認する

震源地は巨人のいた沿岸部付近だった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?