掌編怪談「窓」
仕事中、目が疲れたので窓の外に目を向ける
24階からの景色は壮観だ
と言いたいが、見えるのは隣接する高層ビルのみ
高層ビルが建ち並ぶエリアなので無理もない
今日は風が強いのか
白い何かが宙を舞っているのが見える
何となくその白い何かの行方を目で追う
ビル風に煽られたのか、すごい勢いで目の前の窓にぶつかってきた
意外と重量があるようで、ドンと鈍い音を鳴らした
ビニール袋のように見えるのに不思議だ
しばらく窓に貼り付いていたが、風に飛ばされてビルの合間に戻っていった
いい加減仕事に戻ろうと肩と首を回してPCに向き直る
ドンと目の前の窓が音を鳴らす
見るとビニール袋ような物が窓に貼り付いていた
だが、先程のものとは異なりイラストが描かれている
ガラスに貼り付いて何かを見ている子供のイラスト
その子供と目が合った気がしたが、気にせず仕事に集中する
ドンドンドンドン
今度は連続して叩くような音がする
何事かと、顔を上げて窓を見る
イラストの子供がひたすら窓を叩いていた
目があった瞬間、子供の口元がニヤリと歪んだ
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