掌編怪談「雨笠」

むかしむかし、笠が降る村があった

その笠を大切に使うと幸福になるとされていた

噂が近隣の村々へと伝わると村民が増え、村は豊かになった

しかし増えたのは欲にまみれた者ばかり

やはりと言うべきか、笠が降ると奪い合いとなった

人もたくさん亡くなり、その影響で村が維持できず

皆が不幸となった

それを知った大名の命により、僧が遣わされた

僧によって六尊の地蔵が祀られ、降った笠を地蔵に供えるようになった

これらは笠地蔵と呼ばれ、村に恵みをもたらしたとされている

いつしか笠が降らなくなると次第に忘れ去られてしまった

そして某お伽噺へと繋がるのである

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?