掌編怪談「リベンジ」
ランタンの光が消え、周囲が暗くなる
空気が変わったのを肌で感じる
焚き火の勢いも弱くなり、炭が仄かに赤みを残すのみとなった
湖が近いからか妙に肌寒い
ざっざっざっと砂利を踏む足音が聞こえる
少しずつ音が大きくなり、目の前で止まった
顔を上げると見知った顔がある
月明かりに照らされるその姿は、ずぶ濡れで所々欠損している
水を吸ったのかパンパンに膨れており、ヘドロの様な臭いを漂わせている
俺は我慢できずに吹き出した
笑ってる俺を襲おうと奴が近づいてくる
足元の鞄から手鏡を取り出し、鏡面を奴に向ける
あああぁぁ
叫び声を上げると奴は煙のように消えていった
俺をいじめた罰だよ
また来年も笑ってやるからな
お盆が楽しみだ
奴の叫び声が木霊する
ランタンの明かりが周囲を照らした
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