フランツ・カフカ 没後100年 reborn
こんにちは!
没後100年の記事を見て、はじかれたようにフランツ・カフカを読み返しました。
思わず、クスッと失笑したのは私だけでしょうか。
人生の超現実的な苦境を作品にして、人生ネガティブキャンペーンの旗手とも思召すカフカが、何故か現代にも受けいれられているようです。
現在のチェコ出身の小説家。
その言葉は、極ネガティブでありながらも、底流にはユーモアがあり、紙面からは夢想の空間を醸し出す魔法のような世界観を持っています。
話は少し変わりますが、皆さんスランプに陥り感傷に拘泥しているときには、どんな言葉や音楽が必要ですか。
ピタゴラスは「元気がでる言葉や、ワクワクするような音楽を耳にすると言い」と説いています。
気分を高揚させる逆療法ですね。
でも、アリストテレス曰く「同じ気持ちに成るような音楽や言葉がいい」と、落ち込んだ時と同じ階調の気分になれる音楽などがいいと言っています。
つまり「アリストテレスの同質効果」ですね。
双方、真っ二つに意見が分かれています。
皆さんは、落ち込んだ心にどのような処方箋を調合しますか。
確かに、失意のどん底にある時に、達成者の「成功譚」を訥々と聞かされても「これ以上頑張れるか。」と余計に意気消沈してしまいます。
では、正しい処方箋は・・・
まず、今のどん底の気持ちと同じ波長に合わせるような音楽などに浸ります。
どっぷりと。
そして、落ち込んだ気持ちに同調した後、次に高揚感のある音楽のシャワーを浴びます。
つまり、悲しい音楽などを取り入れることで、傷心に同調させ段階を経ながら落ち込んだ気分を徐々にリカバリーする手法で、実際に睡眠向上のカウンセリングの一方法として採用されています。
つまり、α波効果を上げるために脳波を一旦β波に同調させ、その後α波へと導きます。
いきなり、α波には同調しないそうです。
更に、例えると「塩漬け」食品の塩抜き行程でいきなり真水に漬けずに、塩水に漬けるという浸透圧の原理と同じようなイメージですね。
話しは、少しずれましたが、翻ってカフカはというと、彼の小説では「変身」を代表するように「ネガティブ」キャンペーンの波長に満ち溢れています。
何故でしょうか。
カフカは元来熱心な読書家であり、多くの作家を敬愛して手本としていました。
幼年期のから親しんだ作家は「アーサー・コナン・ドイル」「ジュール・ベルグ」などなど、それぞれ名前だけでも心躍るような小説家ですが、カフカの作品はほとんどが、地を這うような心情を淡々と吐露するような言辞に溢れています。
全てに渡って凄愴の気漂う階調の作品ばかりです。
彼は、「創作活動は楽しい」と語っていますが、その創作に没頭している傍ら、友人には「死後、全ての作品を焼いてほしい」とも言い残しています。
とまれ、ここまで厭世感を現出させながらも彼は一回も自傷に走らず、ただ純朴にネガティブな作品群を書き続けていました。
その間、カフカの周りにいた、友人、身内、親族、多くの人が亡くなりました。
日本でも、カフカの作品に初めて触れ、影響を受けたと言われている「芥川龍之介」「太宰治」も亡くなりました。
※ 誕生・没
芥川龍之介 1892~1927
太宰治 1909~1948
カフカ 1883~1924
卑屈の権化とも見紛う服を纏って生き抜いた40年間。
死後、友人たちが遺言を無視して、カフカの作品を社会に広めたことで今日の文壇に多大な影響を与え続けることになりました。
友人をして、そんな背徳行為をさせ得る作品とはいかなるものか、その一部に触れてみたいと思います。
まず、彼は4歳年下のユダヤ人女性の「フェリーツェ・バウアー」に恋をした時のエピソードです。
その彼女に宛てたラブレターがこれです。
「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」
「どこが、恋文なのだ」
と誰もが、愕然とするでしょう。
でも、バウアー曰く「ラブレターよりも、本人にはもっと驚いた。」と述懐しています。
また、現代中国の「寝そべり族」と言われる若者たちの考えに通底するものがありますね。
全力を出し切った後の、脱力感しか残らない気持ちには、なんとなく共感が持てます。
時代を超越して脈々と受け繋がれているカフカの格言を、不定期にご紹介したいと思います。
お付き合いいただけたら幸いです。
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