『わたしたちが光の速さで進めないなら』感想
今回はキム・チョヨプ著、カン・バンファ ユン・ジヨン訳の「わたしたちが光の速さで進めないなら」というSF短編集の感想について書いていきます。
ネタバレありですのでお気をつけて。
1.巡礼者たちはなぜ帰らない
かなり好きな話でした。ユートピアは素晴らしいけどつまらないだろうなとも思います。なんというか生きる意味がないというか…もし、私が「村」にいたら将来の夢もなかっただろうなぁ。あれはあれで地球を知った後だと精神を病んでしまう気もする。
3共生仮説
これ!私がわざわざNoteに感想を書こうと思ったものは!花とゆめの少女漫画『ぼくの地球を守って』を読んだことのある人なら少しピンとくるかもしれませんが、これって流浪の民の
『慣れし故郷を放たれて
夢に楽土求めたり』
という歌詞にぴったり!ということを思いついた瞬間この共生してくる謎生命体の気持ちがわかるというか、今はない故郷に対する懐かしさが思い起こされる。
これはSFで懐かしの故郷を求めているのは地球外生命体なわけだけど、でも我々人間もこの気持ちがわかるよね。というところが小説としてすごいと思う。
この短編集で1番好きなのは『スペクトラム』と『わたしのスペースヒーローについて』だけど、(『館内紛失』は私自身長年うつ病を抱えているため少し読むのが辛かった)、感想を書きたい!と思ったのは上記2作品でした。
キム・チョヨプ先生には2024年11月のK-bookフェスのファンミーティングにてお会いしたことがあるのですが、その時はまだ『地球の果ての温室で』しか読んでいなかったので、これからその時のお話と照らし合わせながら、他の作品も読んでいきたいです。
私は理系分野はさっぱりでSFも読んだことがほとんどなかったのですが、キム・チョヨプ先生の作品はなんか私と周波数が合うといいますか、読んでて心地よくて好きなんですよね。やはり不思議な話だけど爽やかな読後感で、フェミニズム要素もあり、マイノリティに寄り添っている。
そういうところが好きです!
ではまた!