星の話をしよう①
大気が冷たく冴え渡る冬は、星が美しい輝きを増す季節。
俳句の世界でも、星にまつわる言葉の多くは、冬の季語に属する。
さて、仕事に子育てに精一杯の、余裕に欠ける私には、無心になって自然の中に遊ぶようなことが少ない。
自ずと、私の句に用いられる季語は、気象天文に関わるものに偏ってくる。仕事と家庭を行き来する生活の中でも、それらは否応なく肌にまとわりついてくるからだ。
そんな我が暮らしにとって、夜空に浮かぶ星々の景色こそ親しみが深いもの。子供の寝静まったあと、煙草を一服ふかしながら夜風にあたりにいくルーティンは、私が句作に費やせる最良の時間の一つであるからだ。
前置きはさておき...
ここからしばらく、私が過去に作った冬の星々にまつわる俳句をいくつか、シリーズで投稿したいと思う。
第一集は、
この年の秋に次女が生まれたばかりという、懐かしいあの頃の一句。
広大な宇宙を彷徨い続けている宇宙探査機、ボイジャーを想って詠んだ。
ボイジャーは1977年に2機が打ち上げられ、1号機は2012年、2号機は2018年に、漸く太陽系外に脱出した。
2機のそれぞれに、ゴールデンレコードと呼ばれる金属製のレコード盤が積まれている。それには地球上の様々な言語、音楽といった“人類の情報”が記録されている。どこかに存在するかもしれない、地球外の知的生命体に向けて、我々人類の存在を示すためのメッセージなのだ。
ロマンティックな話ではあるが、私たち以外の誰かが私たちを見つけてくれる日は、果たして来るのだろうか。そう思うとボイジャーも地球も、なんという孤独な旅を続けているのだろう...。
そんな孤独な感情を癒すように、バッハの曲に耳を傾ける。人類が友人に巡り会える未来に、想いを馳せて。バッハの作曲した『平均律クラヴィーア曲集』の一節もまた、ゴールデンレコードに吹き込まれ、ボイジャーと旅路を共にしているのだ。