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奇才から生まれたダークヒーロー
この本は、藤本タツキ作『チェンソーマン』(集英社、2019年)というダークなバトル漫画です。一見王道な漫画ですが、想像のできないストーリー展開と独特な世界観の絵・画面構成に強く惹かれる一作となっています!
⭐️あらすじ
主人公のデンジは死んだ父の残した借金を背負わされ、お金を稼ぐためにデビルハンターをする貧しい少年。その途中弱った「チェンソーの悪魔」のポチタと出会い、ともに悪魔を倒して生活していた。ある時罠に嵌り、悪魔たちに殺されたデンジはポチタと「自分の心臓と引き換えにデンジの夢を見せてくれ」という契約を交わす。チェンソーの悪魔であるポチタと融合し、敵を殲滅するが血であふれた現場へ公安がやってくる。そこから公安のデビルハンターに飼われることになり奇妙な生活が始まっていく。
⭐️強く惹かれるポイント
この作品はセリフ・イラストがほかの漫画と一線を画すポイントです。間の取り方が独特なんです。勢いあふれる画面構成にも関わらず、静かなゆっくりとした間が必ず存在する。このような場面で、「自分は藤本タツキの脳内にいざなわれている」と強く感じます。そしてイラストはかなり刺激的で、体がかなりぐちゃぐちゃになる表現が多く見られます。バトルシーンで内臓がまろび出るだけではなく、表現方法として内臓(主に腸)が描かれることが多々あります。すべてを通じて、世界観がかなり個性的になっています。
もちろんですが、ストーリーもとても面白いです。人間が生きる上での最低限の知識しかなく、社会のルールを全く知らなかったデンジがデビルハンターを通じて人間の心の成長を遂げていく。歪んだ環境の中で徐々に変化していく様子を自らの目で見てほしいと思います。
⭐️さいごに
非常にダークで闇深く、流血や欠損が激しいので注意が必要ですが、この文章を読んで少しでも興味をひかれた人はぜひ漫画を読んでみてほしいです!理由は、人によって読了後の意見がまったく違うものになるはずだからです。私の感想は「重たいポップな作品」でしたが、ほかの人もこのような感想を抱くだろうとは一切思いません。デンジの珍妙な人生を見届けてほしいです。
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https://www.amazon.co.jp/dp/B09P3Y9JYK/?tag=htm1405-22
『チェンソーマン』
著:藤本タツキ
全18巻