努力が報われないことほど腹が立つものはない
先日、仕事のために早起きした。いつもより10分早く起きたので、軽い朝食をとったあと数分のあいだ本を読んでいた。そのあと、荷物を準備したり歯磨きをしたりしていると、時刻は8時20分になっていた。仕事に行くには8時28分発の電車に乗らなければならない。家から駅まで歩いて10分弱はかかる。毎度ながら自分の計画性の甘さに呆れた。
私は全速力で走った。駅までの道筋は、途中までは平たんな道が続くが、交差点を過ぎたあたりから緩やかな坂になり、道幅も狭くなる。昨日の夕方にプールで泳いだ疲れがまだ残っていて、足が重たい。革靴のコツンコツンという音を響かせながら、肩から落ちようとするトートバッグを左手で抑えながら走って、駅にたどり着いた。
改札には既に電車が止まっていた。何とか間に合ったようだ。ところが、電車の扉は開くことはなく、無慈悲にも私を置いて走り出した。「次の電車だ」と冗談を言えるような余裕もなかった。あれだけ走ったのに間に合わなかったのか。日本の電車の時間に正確なところは海外の方から賞賛されているようだが、私はこの日本の誇るべき点に初めて苛立ちを覚えた。