三周年とGOLDEN・ドラゴン
デュエプレは三周年を迎えようとしている。それに際してこの度、「レジェンド・オブ・プレイス2023」がリリースされる。
三周年を記念する目玉カードは、「ロマネスク」や「キリコ・ムーン」などと並んで、「シャチホコ・GOLDEN・ドラゴン」だと思われる。この度、一見ギャグじみたこのカードの魅力について語りたい。
三つの太陽
「GOLDEN・ドラゴン」の覚醒リンク前のクリーチャーは、「アポロヌス」をモチーフとしている。
三体のアポロヌスが合わさって一体の、ワールド・ブレイカーをもつクリーチャーとなるさまはまさしく「アポロヌス・ドラゲリオン」そのものであって、クリーチャーとしてのみならず挙動自体もアポロヌス的であることに注目したい。
アポロヌスの召喚演出は三つの太陽が渦巻いてひとつとなって爆発するものであるが、ひとつの巨大な太陽となったアポロヌスが再び三体集まり、黄金の竜となるのは、三周年を祝う上でもふさわしい演出ではないだろうか。
「アポロヌス・ドラゲリオン」が火文明で赤い太陽、「DEATHドラゲリオン」が闇文明で黒い太陽であるならば、「GOLDEN・ドラゴン」に至る黄金の太陽、「TEMMUTH・カイザー」が三体目のドラゲリオンであるのだろう。
私はこの太陽のモチーフは、非常に岡本太郎のそれと似ていると感じている。有名な「太陽の塔」に顕著だが、岡本はしばしば太陽を描き、そしてその裏には「黒い太陽」があるというイメージをもって作品をつくる。
「太陽の塔」において太陽と黒い太陽の表裏性のモチーフは、「未来」「過去」を象徴するものとして用いられた。https://taiyounotou-expo70.jp/
未来があるのであれば必ず過去がある。その裏腹を、彼の持つ太陽イメージと重ねたのである。そして太陽の塔の頂点にある黄金の顔は、現在を監視しているのだという。岡本はまた、「黒い太陽」という絵画とともに、「黒い太陽に立ち向かえ」という趣旨のコメントを残している。黒い太陽は向き合い、超克されなくてはならないものなのである。
これらは、デュエプレにおける太陽の神、アポロヌスの扱いと酷似する。一周年でアポロヌス・ドラゲリオン、二周年でDEATHドラゲリオンの存在があったのは、岡本太郎的な太陽モチーフと重なる。すなわち、太陽、アポロヌスがいるならば表裏としての黒い太陽、DEATHドラゲリオンがいなければならない。では、三周年目では? 「黄金」である。「DEATHドラゲリオン」という過去を超克し、未来の太陽へとつなげる、現在を見据える黄金の顔である。すなわちそれが、「GOLDEN・ドラゴン」なのである。
そのように考えたとき、覚醒リンクは象徴的なものとなる。太陽の塔における、未来の太陽、過去の黒い太陽、そして現在の黄金が「三体」合わさってひとつの、「GOLDEN・ドラゴン」となるわけで、デュエプレの過去、未来、現在を包含する。それだけでなく、黒い太陽、過去と向き合い、それを超克する意志をも感じさせるのである。また、いままでのアポロヌスの範疇を超えた存在となっている点も注目される。アポロヌス三体を元に、「GOLDEN・ドラゴン」となるのは、デュエプレがさらに一段上のステージへ登ることへの示唆ともとれるのである。
ナゴヤの遊び心
「GOLDEN・ドラゴン」のもうひとつの特徴は、「えびせん」「ういろう」「てんむす」「シャチホコ」と、「シャチホコ・ホール」に見られる「NAGOYA」の記載である。
太陽、アポロヌスと名古屋がなぜ関連づけられてクリーチャーとなっているのかは全く見当がつかないが、「天下統一」のようなイメージとあわせた遊び心程度に解しておく。私は、このような遊び心は歓迎だ。なにしろパンドラ・スペースには「平家」「リキシ」「オンセン」があるのだ。日本的なものが多いにもかかわらず、「オーケストラ」なんかもやっているし、かなり謎である。だから面白い。ここまではじけた遊び心の前には、つじつまなど不要である。太陽の塔や愛地球博もあまり名古屋とは関係がない。パンドラスペースには、どうやらまだ見ぬクリーチャー世界があったようである。アンノウンは、そういう、「つじつまのあわない、知らない、意味のない」遊び心を破壊してしまったわけであり、その意味でデュエマに対して冒涜的である。「シャーロック」にはとくに、冷徹さがあらわれている。だからこそ、同じ弾にふざけたおしたような「GOLDEN・ドラゴン」がいることは、非常に魅力的な語り方であろう。
「シャチホコ・GOLDEN・ドラゴン」は、デュエプレの遊び心と輝かしさを体現したカードである。三体でリンクする以上、三周年目にもふさわしいカードであろう。デュエプレの輝きと遊び心に思いをはせ、「やめられない、止まらない」カードゲームでありつづけることを期待しよう。
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