二人きりの孤独
子どもが大きくなると、当然それぞれの人付き合いがある。社会的な行動の幅も広がる。そして、その日程が重なることもある。
今日は自分以外誰も帰ってこない。いや、愛犬がいる。散歩に連れて行って、餌をあげて....と考えていたのだが、仕事はなかなかそう上手くいかず、結局いつもより1時間ほど遅れて帰宅できた。この「いつも」とは、家族の中で帰りが一番早い次女の帰宅時間だ。愛犬からすると、相当な寂しさだったのだろう。自分に帰宅に気付くとケージの柵に飛び付き、クルクルと回り出した。
すぐに散歩に出たが、小雨の降る中、あまり落ち着いて散歩できない。何とかいつものコースをこなしたが、早足だったため30分程になってしまった。濡れた身体を拭いてあげようとタオルを出したら、再び変なテンションになってしまってタオルにやたらと攻撃的に噛み付く。仕方がないので先に餌をあげたら、ようやく興奮状態が収まった。
ただ、愛犬の気持ちになってみると、夕方の散歩もし、ごはんも食べたのに、いつものみんながいない、という妙な不安感がぬぐえなかったようで、暫くは玄関の方へ続く扉をじっと見つめ続けていた。何度か「今日は二人きりだよ」と話しかけて、それが伝わったのか、それとも本人なりに諦めたのか、定位置の自分の足下で寝転んだ。
時々首元を撫でているとやがて寝息を立て出した。そうなると今度はこっちがなんとも言えない孤独感に襲われ、不安でいっぱいになる。動物は人間の動揺に敏感だと聞くので、悟られないように冷静に、と意識するのも苦しいものだった。
さっき、いつもの「お休みなさい」の行動を始めたので、ケージに入ってもらうと、すぐ寝入った。明日も朝の散歩、その後仕事に行くのだが、愛犬はまた寂しい思いをしているのだろうかと考えると、何だか仕事も手に付かなさそうである。
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