傾聴訓練モード
週末、スターバックスでドリップコーヒー(with チョコシロップ多め)を飲んでいた僕の目の前にやや前のめりな妹が現れる。
普段は遠慮がちに(空いていれば)隣の席に座るのだけれど、その時は僕の向かいの席に置いたcote&ciel【RISS ECO YARN Black】を押し退けるんじゃ無いかという勢いだった。
挨拶もそこそこに「ねえねえ」から始まる話の内容はショッキングな出来事から始まる愚痴のようなものだったのだけれど、僕はすぐに”傾聴訓練モード”に入り「うんうん」「はいはい」と耳を傾けた。
安達裕哉著【頭のいい人が話す前に考えていること】で著者が「知識は相手のために使う」と書いていることを思い出し、「こういう話があるんだけど」とか「ある人がこう言ってたんだけれど」と出来る限り彼女の悩みのサポートが出来るようなことを話す。
途中でこれまたある人が言っていた「悩みの0.3%を改善する(気持ちを少しだけ軽くする)」ことも思い出し、解決策や正論では無く「こういう方向性は?」といくつかのささやかな選択肢を並べてみたりもする。
結局この話はどこへも着地せず、彼女は「今度はお兄の愚痴を聞いてあげるね」と言って席を立った。
「でも僕には語るべき愚痴がほとんどないのだけれど」と、空いた向かいの席を眺めながら独言た。