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データサイエンティストを採用する前に知っておきたい基礎知識

こんにちは!ブライエッジ株式会社で、エンジニア採用のRPO支援を行っているチーフコンサルタントの三村です。

昨今、WEB・IT業界の企業のみならずあらゆる企業で求められているデータサイエンティスト。Webエンジニアと比較してさらに難易度が高いと感じている人事の方も多いのではないでしょうか。
今回は、データサイエンティストの採用市場や弊社が創業以来、10年近くデータサイエンティストの採用に携わってきた中で見つけたキャリア別の魅力訴求ポイントについて解説します!

※本noteはブライエッジが、採用のご支援をさせていただく中で感じたことをもとに執筆しています。これが正解というものではなく、いち意見としてご参考ください。


1.データサイエンティストの採用市場

まずは、データサイエンティストの採用市場について見てみましょう。とある媒体で、職種をデータサイエンティストとして設定している方がどれぐらいの数いるのか、調べてみました。

2023年9月調査

意外にも、データサイエンティストの求人倍率は全体を見ると1を切っていました。
求人倍率が1を下回る場合は、求職者よりも求人数が多い、つまり買い手市場だといえます。
ただ、実際に求人の中身を見ていくと

  1. 未経験OKの求人はほとんどない

  2. 理系大学院卒が必須要件となっているケースが多い

と、どの企業も欲しい人材像が非常に似通っていました。
一部の人材にオファーが殺到して取り合っている状態で、基本的には採用難易度が高い職種だと言えるでしょう。

2.機械学習エンジニアとデータサイエンティストの違い

採用のご支援を進める中で人事の皆様から「機械学習エンジニアとデータサイエンティストの違いがわからない」というお声をよくいただきます。

機械学習エンジニアとデータサイエンティストを明確に分けて登録できる求人媒体が少ないことも鑑みると、この2つの職種の違いをエンジニアではない私たちが理解するのは難しい部分もあるかもしれません。

ここでは、一般的な解釈についてお伝えをしますが、採用したいとお考えの部署の皆様によっては、異なることもあるため採用を行う前にしっかりと現場とすり合わせを行いましょう!

2-1.機械学習エンジニアとは

名前の通り、機械学習に高い専門性を持っているエンジニアです。
機械学習エンジニアの仕事は特定の課題を解決するためにデータの特徴や傾向を解析したうえで、予測するためのアルゴリズムの構築とその磨きこみです。

例えば、普段使っているスカウトの媒体で「弊社独自のアルゴリズムで、返信確度の高い候補者様には赤く色がついています」といった説明がされているのを見たことありませんか?
これはまさに機械学習エンジニアが「スカウト返信率が低い」という課題に対して、スカウトに頻繁に返信する人とそうではない人の特徴や傾向を解析し、「おそらくこういう人は返信してくれる可能性が高いだろう」と予測するためのアルゴリズムを構築しています。
また、ある候補者様をスカウトすると「こんな方もオススメですよ!」とレコメンドしてくれる媒体もあります。このレコメンド機能も機械学習エンジニアがレコメンドのためのアルゴリズムを構築しているからこそ成り立っています。

2-2.データサイエンティストとは

データサイエンティストは機械学習をはじめとした計算機科学や統計学、数学の知識に加えて、データサイエンスを実装運用するデータエンジニアとしてのスキル、さらにビジネス課題の抽出と課題に対する示唆出しやといったビジネスに対する感度や経験が求められます。

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000007312.html

こう書くと、機械学習エンジニアの上位互換がデータサイエンティストなのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
機械学習エンジニアのほうが、よりアルゴリズムの構築において高い専門性を持っており、データサイエンティストは機械学習エンジニアほどの深さはないもののその知見を活かして、広くビジネス課題の抽出や示唆出しまで行っています。
業務における専門性の高さと広さで、それぞれ得意領域が異なるイメージです。

3.データサイエンティストの生息地

Webエンジニアの場合、Forkwell/Findy/LAPRAS/転職ドラフト/レバテック等、エンジニアに特化した媒体が複数あるため、それらを利用した採用活動が一般的です。

一方で、データサイエンティストをはじめとしたデータ系職種については特化した媒体が少なく、またエンジニア特化の上記媒体にも豊富に人材がいるわけではありません。
そのため、ビズリーチやGreen、Wantedlyなど、幅広い職種を網羅的に採用できる媒体とForkwell/Findy/LAPRAS/転職ドラフト/レバテックといったエンジニアに特化した媒体の両方を広く利用していく必要があります。

また、SIGNATEやAtCoder,Nishikaといった競技プログラミングのコンテストを自社で主催し、そこに参加した方に対してアプローチを行うという手法もあります。
※競技プログラミングについては、改めて記事を作成する予定です!お楽しみに!

4.キャリア別 訴求ポイント

様々な媒体でアプローチすることが求められるデータサイエンティストの採用ですが、実際にどういった点を訴求するのが良いのでしょうか?
大事なのは、ターゲットが抱える課題や転職動機に合わせてメッセージを創っていくことです!

4-1.自社サービス企業のデータサイエンティスト出身者向けメッセージ

候補者が抱える課題や転職動機
データサイエンティストとして働いているが、ビジネスサイドに言われたデータを提供するだけのことも多く、裁量がないと感じる

メッセージに盛り込む要素
1. 業務の進め方
例:ビジネスサイドの意向によりデータを取得するのではなく、データサイエンティストが所属するデータ室が主体となって事業グロースのための施策検討・推進を行っています。
2. 携わることのできるデータの量や質
例:◎◎万ユーザーを抱えるプロダクトから得られるデータを用いて、売り上げ改善に向けた戦略の立案・推進を行います。
VOC(お客様の声)等の定性データを用いたLTV向上など、唯一無二のデータに触れることが可能です。

※上記の課題は「データアナリスト」と呼ばれる職種の方が感じる課題に近い部分もありますが、媒体上ではデータサイエンティストとして記載している方も多いため、
ここではデータサイエンティストの抱える課題の例として記載しています。

候補者様が抱える課題や転職動機がなぜ生まれるのか?という点について簡単にご説明します。
自社サービスを所有する企業であっても、ビジネスサイドとデータサイエンティストの距離が遠く、データサイエンティストが「外注先」のようになってしまうケースがあります。

ビジネスサイドがやりたい方向性があり、その仮説を補強するために有利なデータ分析の結果だけが求められる等、データを用いた戦略設計ではなく戦略設計のためのデータ分析となってしまうと、データサイエンティストとしては裁量が感じにくく、やりがいにもつながりません。

こうした課題やモヤモヤを抱える候補者様に対しては、業務の進め方をお伝えすることでデータドリブン/テックドリブンな意思決定が出来ると伝えていきましょう!
実際、弊社がお手伝いしているクライアント様でも、データ組織とビジネスサイドの距離が近いことや、データを用いた経営の意思決定支援の具体例について記載したところ「営業が強い組織だと思っていたが、データ室の存在感が大きいことに驚いた!」等のポジティブな反応をいただけた例があります。

また、携わることが出来るデータの量や質(ユニークさ)について自信がある場合にはその点をしっかりメッセージングすることも重要です。
データ量が多い、あるいはユニークであるということは、それだけ会社がデータを収集することに力を入れていることの証明ともいえるからです。

4-2.クライアントワークに携わるデータサイエンティスト向けメッセージ

候補者が抱える課題や転職動機
自分が携わったデータがプロダクトにどういう影響を与えたのか、ユーザーにどんな貢献があったのかが分からず、もどかしい

メッセージに盛り込む要素
1.ユーザーとの接点について
例:ユーザーインタビューなど、定期的にユーザーと直接接点を持つことで、机上のデータだけでは見えなかった課題の解決も行っています。
2. 携わることが出来る業務範囲について
例:PoC段階はもちろん、検証が終了し有用性が実証された場合には、その後のグロースに向けた施策出し、戦略立案、推進まで一気通貫で携わることが可能です。

SIerなど、クライアントワークに携わるデータサイエンティストの場合、PoCと呼ばれる検証段階のフェーズでプロジェクトが終了し、実際に自分が携わった分析結果がどのように使われたか分からないまま、次のプロジェクトにアサインされるということがあります。
業種や業界を問わず様々な事業に携われるのがクライアントワークの魅力である一方で、自分が携わったデータがその後、どのように使われたのか、どういう影響があったのかを最後まで追いたいと考えるデータサイエンティストも一定数、存在します。
採用に携わっていた方がご入社された後にふと「入社した◯◯さんは、その後、ちゃんと活躍してくれているだろうか?」と不安になるのと同じだと捉えると、分かりやすいかもしれません!

こうしたモヤモヤを抱える候補者様に対しては、ユーザーとの接点や業務範囲について伝えていきましょう。
弊社がご支援しているクライアント様でも、大手のSIerから転職することを決意された候補者様の意思決定理由を確認すると「中長期で腰を据えてデータと向き合えること」「プロダクトのグロースを見届けることが出来ること」を挙げている方が多いです。

5.データサイエンティスト採用の注意点

最後に、データサイエンティストの採用時に気を付けたい点をご紹介します。ぜひ参考にしていただければ幸いです!

記事冒頭にご説明したとおり、データサイエンティストのほとんどの求人が経験者のみの採用となっています。つまり、各社ともアプローチしたい人材はほぼ固定しており、非常に競争率が激しいと言えます。

その中でもさらに知名度あり、メッセージの磨きこみやエンジニア採用そのもののブランディングができている企業が有利になると考えると、採用の難易度はさらに高くなります。

どうしても急募で採用しないと事業が前に進まない!という場合を除いて、「本当に経験者だけが欲しいのか」「育成することはできないのか」について考えてみても良いのではないか、と思います。

第二新卒であっても大学や大学院にて専門的に学んでいた人であれば、データサイエンティストとしての社会人経験がなくても十分に活躍いただける可能性があります。

6.最後に

今回はデータサイエンティストの採用に関して解説をしました。いかがでしたでしょうか。
ChatGPTに代表されるようなLLMなど、データサイエンスやAIの領域は日々、新しい情報が出てきます。
そのため、アップデートを怠るとあっという間に追いつけなくなってしまう難しい職種だなと感じています。
今後も、採用のご支援を通して日々キャッチアップしていきたいと思います!
最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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