コントラクトブリッジはどこからやってきたのか調べてみた
コントラクトブリッジというと「世界中で遊ばれている知的な紳士淑女のゲーム」などと紹介されることが多いですが、この「世界中」っていうのがピンと来ないので調べてみることにしました。
一般的な意味で言えば、「世界ブリッジ連合(World Bridge Federation)」に加盟団体を持つ国や地域にはブリッジプレイヤーがいる、ということなのでしょうが、今回はブリッジの発生や発展の歴史からブリッジが盛んな地域を見ていこうと思います。
1.今回参考にしたゲームに関する事典類
こちらはカードゲームに限らず、世界中の遊びに関する事典。民俗学系の立場から地域や民族の中で行われてきた遊戯(ゲーム・スポーツ・娯楽など)についてまとめられています。
Amazonには書影すらない古い本ですが、デイビット・パーレット(David Parlett)さんというイギリスのゲーム研究者による著作(1978)の日本語版(1988)です。数あるカードゲーム群のなかでも一番最初の章で取り上げられているのは「世界中で最も名高いカード・ゲーム」のブリッジ。
こちらは先述の『トランプ・ゲーム大百科』の訳者でもある松田道弘さんがまとめたトランプゲームの本です。松田さんはカードマジックやトランプゲームに関する著作を数多く出版されている方です。
これらの本の記述を手がかりに、ブリッジが遊ばれている地域について検討しようと思います。
2.プレイングカードはどこからきたのか
そもそも、「プレイングカード」(日本でいうトランプ)の起源はどこなのかというと(そこまで遡るんかい)、どこで考案されたものなのかは分かっていないそうです。『民族遊戯大事典』によれば、考案された場所として①モンゴル②インド③エジプト④ペルシアの説があり、そうした地域からイタリア及びスペインに伝来したことでヨーロッパに広まったと考えられているそうです。
時代としては、カードの販売記録や賭博禁止令の記録などから、遅くとも14世紀にはヨーロッパでカードが広く遊ばれていたことが分かっています。初期の頃からカードを生産していた国としてスイス、イタリア、ベルギー、ドイツなどの名前が上がっていますが、15世紀にはヨーロッパ全域に広がったとこのこと。カードの絵柄や枚数は国や制作地によってバラバラでしたが、現在最もポピュラーな「スペード、ハート、ダイヤ、クラブ」のスーツのカードはフランスが発祥で、イギリス、アメリカもこれに倣ったということです。また、カードは賭博の道具であったので、カード禁止令が出されたり、カードが課税の対象になるなどしましたが、カードゲームの流行は収まらなかったとのこと。昔の人たちもギャンブル好きだったんだなー。
3.ホイストからコントラクトブリッジまで
ここからの歴史については世界ブリッジ連合の「What is Bridge?」や日本コントラクトブリッジ連盟の「ブリッジを知る」のウェブページが詳しいので、その内容も参照しながら書いていきます。
コントラクトブリッジの祖先と言われるホイストは、16世紀のイギリスで発達し、広く知られるようになったゲームとされます。ホイストにも祖先となるゲームがあるようですが割愛します。(トランプゲーム大百科。ちなみに『ブリタニカ百科事典』の「ホイスト」の項はデイビット・パーレットさんが執筆者らしい。)ホイストは19世紀末までの長きにわたって人気を博したゲームだったと言われています。
19世紀末になるとホイストの派生ゲームがホイストの人気を奪っていきます。1883年の「ビリッジ」、1896年にはビリッジの改良版である「ブリッジ・ホイスト」が登場。世界ブリッジ連合の「What is Bridge?」によれば、「アメリカ人のジョン・T・ミッチェルが競技用ホイストの遊び方についての本を出版し、最初のアメリカ選手権が開催された」とのこと。そして1904年に「オークション・ブリッジ」が誕生し、アメリカやフランスで普及。1918年にフランスで「プラフォンド・ブリッジ」が導入された後、1925年、アメリカ人の鉄道王ハロルド・S・ヴァンダービルトによって「コントラクト・ブリッジ」のルールが完成。そのルールが世界ブリッジ連合に承認されて、現在のコントラクトブリッジに至るという流れです。
4.個人的感想
個人的には「トランプを使った社交のゲーム」というイメージだったので、「歴史をトータルに見れば、やっぱイギリスがブリッジの中心なのかな〜」なんて思っていましたが、発祥こそイギリスだったものの、近代の中心地はアメリカとフランスなんだなということが分かって納得しました。アメリカンリーグが他の国よりずっと盛んなこととか、Funbridgeの運営元がフランスのゲーム会社なこととか、いろいろ気になってたんでスッキリしたところがあります(超個人的感想)。
あと、昔の人たちカードのギャンブル大好きなんだな、とか。ホイストに限らず、『民族遊戯大事典』を見ると、いろんな国紹介ページでカード賭博が娯楽として行われているという記述があって、なんか笑っちゃいました。
しかし、『民族遊戯大事典』のカードの項ではこんな寂しい記述もあります。
昔のカードゲームって、他のプレイヤーがいないとゲームができないし、カードがあればゲームをすることで他の人と繋がれたし、ある意味「ソーシャルゲーム」だったんだなーと思ったりしました。そんな訳で、皆さんも家族やお友達を誘ってカードゲームで遊びましょうーではー。
<あわせて読みたい>
コントラクトブリッジが誕生してからの歴史はこちらの記事をどうぞ↓