ブリッジチームを率いて欧米各地でエキジビションゲームを開催したエジプトの名俳優オマー・シャリフ
今回はブリッジ愛好家として世界的に知られている往年の映画スター、オマー・シャリフ(1932-2015)をご紹介します。この方は俳優として活躍しながら1964年と1968年の世界選手権大会に出場するほどの実力者で、1967年に「the Omar Sharif Bridge Circus」なるチームを結成しエキジビションゲームをしていたのだとか!そんな彼がどんな活動をしていたのか気になったので調べてみましたー。
オマー・シャリフ(Omar Sharif, 1932-2015)
エジプト出身のシャリフは1954年に俳優活動を開始すると瞬く間にエジプト映画界で人気を集め、1962年に出演したハリウッド映画「Lawrence of Arabia(アラビアのロレンス)」で世界的に知られるようになりました。
(上記リンクは日本語版のようですが、字幕版もあります。)
この作品は、第一次世界大戦中のアラビアでアラブ民族独立に尽力したイギリス人将校ロレンスの活躍とその結末までを描いた歴史映画です。
シャリフはハリト族のリーダー「アリ」を演じました。
そうして順調に映画スターとしてキャリアを重ねながら、ブリッジの世界選手権大会に出場するなど、ブリッジプレイヤーとしての活動も精力的に行なっていました。以下はゲッティーイメージズで見つけたブリッジをするシャリフの画像です。
the Omar Sharif Bridge Circus
そんな彼がブリッジチーム「the Omar Sharif Bridge Circus」を結成したのは1967年のことです。メンバーはシャリフのほか、1950年代後半から70年代までの間にブリッジの世界選手権で栄華を誇ったイタリア代表の「blue team」のメンバーを含む世界レベルのプレイヤーが参加しました。
この「サーカス団」はヨーロッパの都市や北米大陸を回り、各地のチームと対戦をしました。この様子は、ブリッジのオークションとカードプレイをモニターに表示させる「BRIDGE-O-RAMA」という技術を使って観客に公開され、多くのブリッジファンを楽しませました。
(ネット上で画像が見つけられなかったので、『The Official ACBL Encyclopedia of Bridge』の「BRIDGE-O-RAMA」のページを引用しましたが、この「BRIDGE-O-RAMA」は現代の「Vugraph」の前身にあたる技術なのだとか。オンラインブリッジのBBOを利用している方はピンとくるでしょうか。)
そうしたエキシビジョンゲームは新聞や雑誌などでも取り上げられて、話題になっていたそうです。
(Canadian Bridge Federationさんのウェブサイト内にアップロードされていた「1968 – OMAR SHARIF BRIDGE CIRCUS」というpdfには当時の新聞記事の切り抜きが含まれています。)
というわけで、今回はブリッジ有名人のオマー・シャリフさんと「the Omar Sharif Bridge Circus」の活動についてご紹介しました。映画スターが地元にやってきて、ブリッジの試合をしてくれるなんてことがあったらその地の住民はみんな大喜びしたことでしょう。そして、ブリッジのプロモーション活動としての効果も抜群だったのではないでしょうか。彼の知名度もさることながら、ブリッジの実力も世界レベルだったわけですから、ブリッジファンも大満足だったに違いありません。
正直、当方はシャリフさんについては世代的に存じ上げなかったのですが、ブリッジの話だけで終わるのではなくシャリフさんの映画もいろいろと鑑賞してみたいですねーではー。
今回の記事は『The Official ACBL Encyclopedia of Bridge』、『How to Play and Win at Bridge』の書籍のほか、英語版Wikipedia、bridgebumなどのウェブサイトなどを参照しました。
世界ブリッジ連盟さんのページによれば、シャリフさんは1991年に横浜で開催された世界選手権大会にゲストとして来日していたそうです!