見出し画像

中村川橋(上路トラス橋)の耐震補強を拝見

 中村川橋は東名高速道路の秦野中井IC~大井松田IC間にある上路式連続トラス橋です。藤沢川橋より一つ西にある連続トラスです。こちらも情報源はSMCシビルテクノス殿のWEBサイトです。

 上部工に関する耐震補強メニューとしては、下記のようです。

  • 上部工の当て板補強

  • 支承取替

  • 制震装置の設置

  • 負反力対策工

  • 縁端拡幅

上部工の当て板補強
当て板補強 添接部のバイパス構造

 支承取替は、端支点部はほとんど見えませんでしたが、中間支点部は横梁を設置(2本の横梁間にコンクリートを打設)しているようです。ただ藤沢川橋と異なり、再塗装されていない横梁もあったので、この工事以前に横梁の設置~支承取替が行われていたのかもしれません。

中間支点部
中間支点部 負反力対策工のほか橋軸直角方向のダンパーも設置されています

 端支点部のダンパーは格点に向けた接合部材の断面力伝達で、ボルト本数の都合により下弦材にある程度の範囲を添わせるタイプになっています。添接板が隣接するので、断面力伝達と占有面接のコンフリクトを解決する設計は緊張感がありますね。

制震構造

 また、下弦材に向かう吊材がある構造になっています。ダンパー部では水平に、その後は格点に向けて斜めにつながりますが、この折れ点となる部分を吊るための吊材が設置され、さらには下弦材上側より上弦材へと伸びています。余分な断面力を下弦材に発生させないように配慮した設計です。上弦材と下弦材の中間点はピン結合となる(軸力のみが伝達される)モデルとするために、構造を簡易なボルト接合にしているようです。ここも細やかに配慮された設計ですね。勉強になります。
 トラス橋でダンパーを設置する場合、主構面外に下部工ブラケットを配置して、弦材のWEBに設置(添接)する方法がありますが、ダンパーが1基の場合には非対称になってしまいます。中村川橋の場合には、Guss PLを拡大するような対傾構補強が回避できているようで、その分、空間を活用した下部工ブラケット形状になっています。これもまた合理的ですね。

ダンパー設置のための吊材

 負反力対策工については、横梁部分で受ける方法になっています。

負反力対策工