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山梨県 鶏冠山大橋 耐候性鋼材アーチ橋の耐震補強を拝見

 基本的には普通鋼材であっても耐候性鋼材であっても、耐震補強の方針への影響はほとんどないのですが、自分の範囲では事例として見かけることが少ないので、特に鶏冠山大橋の耐震補強を拝見できたのは貴重な経験でした。
 耐震補強の情報ソースは日本工業経済新聞社さんのサイトです。

 鶏冠山大橋の場所はGoogleMapでご確認ください。雁坂峠を超えて、山梨県に入ってすぐのところです。

 さて、では耐震補強の拝見を、と進みたいところですが、最初の写真はアーチ基部周辺から見上げたアーチ部です。空に映えるので、技術的な視点とは別に圧倒されてしまいますね。

登山道よりアーチを望む

 アーチ頂部に視点を移すとボルトが並んでいます。また頂部から少し下がった位置からはアーチリブのWEBの当て板となっており、添接部はバイパス構造になっているようです。

アーチ頂部周辺の当て板補強

 当て板補強されている部分のアーチ間の横支材についても、接合部の補強のためか、WEBにRibPLが追加されていますね。

アーチ部・横支材の補強
垂直材の当て板補強とアーチリブ

 アーチの支点部にはコンクリ-トでの補強がされています。メナーゼヒンジ的な機能を持たせて水平力や上揚力に耐えられるように設計している様子です。以前に拝見して富山県の湯出島橋も同様の対策をとられていて、対策の良い選択肢的になっているのかもしれません。勉強になります。

アーチリブのピン支承部

 一部の下横構はダンパーに交換されていますね。補強メニューが多いので、施工順序を決めるだけでも大変そうです。

ダンパー

 側径間部に視点を移すと、下部工ブラケットにダンパーが設置されていました。おそらくは、支承取替、段差防止構造も兼用しているタイプなので、これも多段階の設計となっていて、設計での考え方のまとめに始まり、製作や現場での位置合わせなど、大変だったと思います。

下部工ブラケットとダンパー・段差防止構造

 側面側を見ると後から設置された補強材がありました。雁坂峠の開通から時間が経ってきて、今の段階で耐震補強などで大きくリニューアルされているんですね。

側径間の橋脚と上部工

 それにしても圧巻。勉強になりました。

橋脚の補強