下部工ブラケット 制約条件の板挟みの中で
板挟みというと、中間管理職の多重責務を思い出してしまいまして。
さて、上にも下にも苦労する下部工ブラケットの設計には制約条件が多いことは否めません。今回は耐震補強関連での下部工ブラケットについて。
古い橋では橋座部分のコンクリート部分(高さ方向)が小さめな場合があります。
図面を見たときに「え?ここに取り付けるの?」と聞きたくなるようなこともしばしばです。そして追い打ちをかけてくるのがH.W.Lです。「少し縁端拡幅を改修・・・」という淡い期待もむなしく、「為せば成る、為さねば成らぬ・・・」と、まずはトライする話になってきます。
水平力分担構造を取り付ける場合には、鋼製ストッパーを載せることになり、また支承の高さがそれほど高くないケースがあります。この場合には、鋼製ストッパーを載せる分、下部工ブラケットの高さの制約が大きくなります。
写真のように、下部工ブラケットの下方にはコンクリート部の面取りもありますね。いずれにしても、下部工ブラケットのアンカーボルト設計では引張力と径・本数(段数×列数)のせめぎあいなので、写真2の事例の設計ではヒヤヒヤしたのではないかと想像しています。
写真3は鋼製ブラケットによる縁端拡幅の事例です。こちらも取り付けは既設部の橋座全面ですが、竣工時の拡幅部に取り付けていることで、高さの制約があった箇所ではないかと思います。
写真4の例は縁端拡幅なので、アンカーボルトはせん断力が卓越しているのかもしれません。設計方法としても①偶力のつり合いとする方法と、②RC単鉄筋断面と見立てて設計する方法があり、どちらなのかな・・・と。
さて、最後は水平力分担構造の下部工ブラケットの事例を。
すでに縁端拡幅がある(沓座部が拡幅形状になっている)箇所への下部工ブラケットの設置では、製作と現場とどちらに軸足を置くか?といった設置方針でのコンフリクトがありそうです。拡幅部の下側にコンクリート(モルタル)で面を作ってしまうほうが良い気もしますが、配筋によっては、実質的な無筋部を作ってしまうことにもなります。そこで、写真のような設置も選択肢なんですよね。悩ましい。
以上、個人的な感想でした。