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日野鷺橋(中路アーチ橋)の耐震補強を拝見

 日野鷺橋は埼玉県道72号秩父荒川線の橋です。
 国道140号を埼玉から甲府方面に向かうと荒川橋がありますが、その近くです。白色系のアーチであり、深い谷を力強く渡しています。
 アーチ橋の耐震補強で気になるのは、ピン支承周りの補強方法です。ピン支承周りには上揚力対策工が施されたり、コンクリート巻き立てされたりという状況ではなく、すっきりとしていました。むしろ日野鷺橋の特徴としては、きれいに力強く設置された当て板補強ではないかと思いました。
 パッと見た感じでは、どれが既設部材で、どれが当て板なの?と、直感的にはわからないくらいです。もちろん当て板補強とナットを見ればわかるのですが、旧部材の部分的な加工や板厚違いのFill PLの配置をうまく組み合わせて仕上げています。すごい。

ピン支承上部の当て板補強
端支柱の当て板補強(中間部分)
端支柱の当て板補強(上端部分)
補剛桁との取り合い部
補剛桁との取り合い部

 そしてブレース類も多く使われており、おそらくは橋軸直角方向の加振時に活躍するのでしょう。

ダンパー系のブレース類

 路面から横支材を見ると、こちらにも小さな断面ですが当て板補強がされています。

横支材の当て板補強

 端支点部にはダンパーや水平力分担構造が設置されていました。特徴的なのは下部工ブラケットです。溶接の施工性を考慮して、Rib PLの形状を調整しています。

下部工ブラケット

 機能のための工夫と、造形美を引き立たせるような当て板補強の設計の考え方が伝わってくるようで、勉強になりました。