ラスボス感 斜角と下部工ブラケット
見かけた橋の写真とともに。
対応することが大事なのは承知しつつも、大きめな斜角のある橋となると、下部工ブラケットの設計・製作・施工の各段階で涙が出てくるような難易度の高まりとなります。これに既設の縁端拡幅があった場合には、鉄筋のジャングルに涙すら枯れそうです。
設計計算の内容は置いておくとして、アンカーボルトとベースプレートは直角に、デバイスからの作用力を受け持っていくリブプレートはその方向に配置されることから、「アンカーボルトのナットはどうやって締めるの?」という問題を克服する必要があります。基本的には手が届けばよい(何らかの治具でナットを少しねじに食いつかせて、その後にソケット+エクステンションバーで締められれば何とかなるとか、ならないとか。ユニバーサルの・・・)ので、アプローチの問題を解決すればよいということになります。
写真1は水平力分担構造と下部工ブラケットを兼用しているタイプで、下側のフランジを短くする。リブプレートに斜めの部分を設けることで、溶接を含めて奥まで手が届くように設定されています。
写真2の下部工ブラケットは高さ抑えめのようで、チェーンからの力が作用する部分に控え材を入れるパターンになっています。横から見たらナットを入れたり締め付けたりするための孔が開いていました。ちょうど手が届くのに限界だったんでしょう。断面設計でOKなら問題はないのですが、断面欠損になる部分でもありますので注意が必要ですね。
製作面でも溶接の施工性やメッキの湯切りのことを考慮する必要があり、矩形のパターンよりも格段に設計難易度が上がります。
あとは溶接のタイプと順序。鋭角側の溶接ってただでさえ施工性が良くないのに、順序(たぶん片押し)によっては手が届かなくなるので、Rib PL間隔には配慮しておきたいところ。
Rib PLを橋軸方向に向けるのは落橋防止ケーブルやチェーンであり、この場合にはユニバーサルタイプの接続具を使用したり、接続部の板を斜めに溶接することで対応が可能です。問題になるのは、水平力分担構造と兼用する場合ですかね。となれば、最近では兼用しない方向感なので、この種の悩みも減る方向かもしれません。
さて、設計で難儀するのをラスボスと称して見てきましたが、斜角の手前には横断勾配という小ボスがいて、次いで斜角がラスボスかな。特殊な橋は別として。
斜角きつめの中空床版橋の耐震補強では、本当のラスボスは、実は下部工ブラケットではなく、上部工下面の主鉄筋・斜筋~配力筋の間にアンカーボルトを打ち込む場合ではないかと思います。鉄筋探査で隙間を見つけつつも、いざコアドリルで削孔し始めると必要な本数分の削孔が終わらず・・・それもこれも2柱式の中間橋脚に橋軸直角方向の加振で水平力が大きすぎるのなんとかしてくれ・・・悪夢じゃぁ・・!、という光景があるとか、ないとか。知らんけど。
以上、個人的感想なので、お仕事の参考にはなさらないでくださいね。