Teisco EP-8 ビザールギター調整
かなり時間が空いてしまいましたが、
不定期である程度調整で手を入れたギターは右から左に売っていくだけではなく、
修理の過程やなぜその作業が必要か、この作業をするとどうなるか等詳しく説明しつつ個人的に感じたことを記していきたいと思います。
今回は1962-年製Teisco EP-8です。
Teiscoのホロウボディのギターには
最初EP(Electric Pickguitar)という名前がついていて60年頃PE-8になり1962年頃EPになったようです。
※60s Bizarre Guitars引用
ビザール系の箱物は基本的にはボルトオンタイプが多いですが、1960年代半ばくらいまではセットネックのピックギターの延長のようなエレキギターも多くある気がします。
spec)
Made in Japan
1962-
TURNER: Original 3:3
NECK:?
BODY:Plywood
FRET BOARD:Rosewood
NUTS:Plastic → Bone
NUTS WIDTH: 43mm
RADIUS:16Rからフラット→12R
FRET WIDTH:1.8mm
FRET:21
SCALE:Medium
LENGTH:628mm
PICKUPS:Single coil
(Neck 4.55Ω Bridge 4.4Ω)
Vol B500
Tone A500
Capacitor 0.03
60年近く経過してる事を考えると比較的状態は良いと思います。(あくまでビザールギター基準)
セットネックの60年代の国産ギターはネックとボディが浮いて接着が必要な物が多いのでまず確認します。
他に多いのがトップ剥がれとハイ起きですね。
オークションなど買う場合はこの辺を確認した方が良いと思います。かなりの頻度でどれかは問題あると思います。
とりあえず問題がなかったので1度バラして磨きます。
ポリッシュや金属パーツはピカールである程度磨いていきます。
ビカビカに仕上げたい場合は研磨材が入ってるタートルワックス等が良いと思います。
次に電装系です。
ジャックもポットも60年近く経っている割には良いですが多少ガリがあるので同じ値のポットに交換します。
この時代のギターには基本的には箱、ソリッド問わず500Kのポットがつけられています。
箱物にシングルコイルで500Kのポットがつけられているのが箱物ビザールがギブソン系にはないレンジの広い独特なアコースティックなサウンドを生んでいると個人的には感じています。
ジャズ系なサウンドにしたい場合は250kにするとレンジが狭くなってジャズぽいサウンドになると思います。
次はスイッチでこのシーソースイッチの見た目が昭和レトロを感じる要因の一つになっていますが、
構造が今となっては少し不安定で反応しない物も多くあります。
これも接点部分を少し修正した後に接点復活材を吹いて稼働するようにします。
電装系は比較的直しやすい部分なので試しに自分でやるのも面白いと思います。
次にネック周りで、ネック周辺がビザールギターが難しいと思われる所です。
この個体はハイ起きはしていませんが、指板はフラットに近く、フレットが低かったりフレット浮きがあって詰まりがあったり、ネックが太い事等が要因で、弾き辛く感じると思います。
この辺の問題を解消してあげるとかなり弾きやすくなると思います。
ビザール系のギターのほとんどは木が収縮したり、形がかわる事やフレットのタングが無かったり少ない事によりフレット浮きが発生してます。
感覚的には6,7割の確率でどこかしらが浮いていると思います。
ビザールギターは基本的には元々のフレットが低いですがそれなりに背の高い物場合はフレット浮き修正後擦り合わせをしていきます。
今回は新しい工具を試したかったので今回はフレット交換していきます。
※フレット抜いた後に指板Rを均一に整えています。
フレット交換をすると低くて弾きづらかったフレットが現代的な高さになり、それに伴い指板のRもクラシックギターに近いフラット寄りのものをFenderやGibson等のRに修正してあげる事で現代的な弾き心地に近づきます。
サウンド面でも浮いてるフレットよりもしっかり打ち込まれたフレットの方が芯のある良い音に近づいていると感じます。
※フレットを打ち込んでいます。
今回もフレット交換に伴い指板を調整します。
指板に関しては好みで良いと思いますが、エレキギターに関してはクラシックギター寄りのフラットな指板RよりもFenderやGibsonに近いRにしてあげると弾き心地が現代的に近づくと思います。
強いて言うならブリッジに合わせてあげるのが良いと思います。
(ビザール系はネックRとブリッジRが異なる場合が多く、これも弾きづらくしてる要因の一つです。)
この個体のオリジナルブリッジは木製なので溝の高さ切って調整できるので
現代の箱物の指板Rに合わせて12R(Gibson系)に変更します。
12Rにすればブリッジを現代的なチューンオーマチックに変えた時もRが同じなのでスムーズです。
よりサステインのあるしっかりしたサウンドにしたい場合はチューンオーマチックに変えてあげると良いと思います。
この個体はボディと弦までの高さがあるので市販の台座がついてるタイプの物でもほぼ加工なしで交換出来ます。
※ビザール系だと台座を削らないと高さが合わない物も多数あります。
指板は12Rでフレットは国産のニッケルシルバーの幅の狭い、いわゆるビンテージタイプに交換します。
フレットの材質やタイプは好みなのでなんでも良いと思います。どのタイプでもオリジナルよりダメになったという事は感じた事はないです。
個人的には箱系は幅の小さい物が好きです。
ナットはどれがしっくりくるかなと思い、色々試して、一時期はアコースティックな鳴りとデルリンやジュラコンのような軽い感じの質感が合うと思ってましたが、最近は牛骨に戻ってきてます。
これも本当に好みですね。なんでも良いと思います。
ブラスもビザール系とは反対の方向性で合わないと思ってましたがいざ交換してみると締まったサウンドで悪くなかったです。
ペグは3:3の白いボタンのオリジナルのままにしています。ビザールギターのペグというかヘッド厚が厚みがあり、セオリー通りにゴトーを使うと弦を通す穴が出てこないので大和マークの台湾製の物を個人的にはおすすめしています。
これでしたらパッと見も損なわず安く手に入ります。
こちら購入時に交換したい場合はオプションで+5000円でパーツ代込みで交換致します。
※オプションの料金は店のギターに限ります。
最後に箱物はPUの高さが調整出来なかったり、スポンジが劣化してて高さがなく前後PUの音量バランスが悪い物もあるのでスポンジを挟んだり、新たにエスカッションを作ったりしてバランスを取ります。
これもリアが低いのでこれから製作します。
近日追加予定です。
あとビザール系はマイクロフォニックのPUが多く細かい音も拾ってピッキングのカチカチして音を拾ってしまうので気になる場合はオプションで+5000円でポッティング対応致します。
ポッティングすれば細かい音は拾わなくなります。
※オプションの料金は店のギターに限ります。
ポッティングをすると高音域がカットされるのですが、ある程度大きい音で使う場合はハウリングの対策にもなります。
これらの作業をすればある程度実践的に使えるビザールギターになると思います。
また個人的に小ぶりな箱物や薄い箱物は他のギターに負けない魅力を持っているギターだと思いますので是非一度試しに弾きに来て下さい!
c.1962- Teisco EP-8
77000yen
https://www.digimart.net/cat01/shop5055/DS07134487/
ビザールギターをある程度使っていこうと思うとそれなりに結果的に手間と費用がかかってしまうのですが、最初からある程度手を加えているので値段的にも比較的お買い得なギターだと思います。
またリセールに関してもBridge Guitarsで購入したビザールギターはネック折れなど大きな問題がない限り税抜販売額の30-45%で買取致しますのでご安心ください。
修理やアフターケアも格安もしくは無料で対応致しますのでお気軽に!
また他にもビザールギターに関してはある程度対応できると思うので相談だけでもご連絡下さい。
よろしくお願いします。
Bridge Guitars
タカザワ
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guitarshop.bridge@gmail.com
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