箱物ビザールギターの魅力
今回は自分が特に好きで色々な人に知って欲しい”箱物ビザール”について書いていきます。
ビザール系のフルアコタイプのギター、TEISCO EP-200L、EP-2LやGuyatone SG-42T等のホロウタイプのギターを自分は勝手に”箱物ビザール”と呼んでいます。
個人的にはどの”箱物ビザール”でも毎回調整するなかで愛着が湧くのですが、
その”箱物ビザール”のなかでも特に良いと思う”薄いボディの箱物ビザール”の良さを私的に語っていきたいと思います。
このタイプのビザールギターは大げさに言うと
ビザールギターの中で唯一Fender、Gibsonに負けないポテンシャルを秘めてると勝手に思ってます。
(勿論他にもYAMAHAやELK Deluxe等の質の高いギターもあります)
なぜそう感じてるかというと、
店を始めて今年で4年、”ビザールギターをで出来るだけ弾きやすく実用的に調整する”という事を意識して調整してきました。
ビザールギター全般どうしても独特のシェイプやプリミティブな構造からくる味のあるサウンドという部分が言及されがちで、
実際のギターの質としては、、、、という風に語られてしまうので、なんとか出来ないかなと思いやってきました。
その過程で気付いたのがサウンド、弾きやすさという部分においてフレットがとても重要だと感じました。
少し話はそれますが、
ほとんどのビザールギターにはフレット浮きがありサウンド面、プレイアビリティ面に問題を起こしています。
(まれにしっかりした状態の個体もある)
これをフレット交換の過程の指板調整でRをブリッジRに合わせたり、しっかり打ち込んでやる事により音も弾きやすさも劇的に変わると言っても過言ではないと思いました。
フレットを交換する事によりビザールギターの”味”のあるサウンドが失われるという意見も勿論りますが、個人的には”味”のあるままブラッシュアップされてる印象があります。
サウンドにコシというか芯が生まれつつ独特のトーンも残っている状態というか。
本題に戻ります。
このフレット交換を沢山のビザールギターで試した時に変化がより大きく、スタンダードなギターにも負けないオリジナリティのあるサウンドを感じたのが”薄いボディの箱物ビザール”です。
もちろんピンキリですが他のソリッドビザールも素晴らしい物もありますが、この”シンライン箱物ビザール”に関しては基本的にどれもポテンシャルを秘めてるように感じます。
まず”箱物ビザール”は例外もありますが基本的にセンターブロックなしのフルアコ構造で、FenderにもGibsonにもないボルトオンネックにシングルコイル、そしてミディアムスケール(大体のビザールギターがミディアムです。
(ショート、ロングも存在する)
そしてボディ厚が35mm-40mm前後でかなり薄いボディです。
(テレキャス約45mm、ES-335 43mm)
Fenderのコロナドは雰囲気は近いのですがもう少しエレキギター寄りギブソン寄りグレッチよりな印象です。
335はセンターブロックがあるという要因もありますがエレキギターの延長な印象です。
またFenderやGibsonのしっかりしたギターに比べて箱物ビザールは材や構造の影響なのかとても軽くこの軽い材、重量、構造が他の王道セミアコ、フルアコにはない
”アコースティックギターな鳴り”
を生み出している気がします。
それとこの時代のビザールギターのポットは基本的に500Kのポットが使われる事が多く、それも所謂ジャズギター的な落ちついたトーンではなくレンジの広いサウンドを作り、
それに加えてマイクロフォニック寄りになっているシングルコイルPUがその振動をダイレクトに拾って独特なアコースティックでビンテージ的なサウンドを生んでいるのかなと思っています。
またフルアコ構造ですがボディが薄いので比較的歪みに耐える事が出来ます。
毎回店に新しい”シンライン箱物ビザール”がはいる度に欲しいなと思いつつ仕上がりが良い感じだと販売してしまいます。
今もTeisco model8
(ノンカッタウェイの薄い小さいフルアコ)を調整してるのですが音出しがとても楽しみです。
あとこのタイプのビザールギターはオリジナリティ?偽物感、B,C級感のあるシェイプの者が多数存在するのも好きな要因の一つです。
リッケンバッカー風からモズライト風、ティアドロップ型、輸出モデルの謎シェイプ、初めて見るものも多かったりして欲しいなと思うギターが多いです。
うちの店でも他の店でも見かけたら試しに弾いてみると良いと思います。
状態悪くてもまあまあ良い音の場合が結構あるはずです。是非!
Bridge Guitars
高澤 瑛