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初めて聞いたウェディング事例を紹介します(2022年9月15日配信)

※本記事は毎週配信しているメルマガ「ブライダル業界の"裏"知恵袋」の過去ログです。登録のこちらから(無料)。

おはようございます。
ブライダル3.0を実現したいアナロジーの市川です。

第151回目はテーマは「初めて聞いたウェディング事例を紹介します」です。

もう10年くらいブライダル業界で仕事していますが、その中でも初めて聞いた事例についてお送りします。

(3390文字 / 約7分で読めます)


1通のDM

つい先日、今年の秋に結婚式を控える方(以下、Aさん)から1通のDMが届きました。

内容は自分たちの結婚式について相談させてほしいとのこと。

え?俺?相談相手あってる??

確かに業界には詳しい方だけど、プランナーでもないし…、と思いながら読み進めていくと書いてあったのはこの一文。

「私たちの結婚式に協賛していただけませんか」

そう、相談とは自分たちの結婚式への協賛の依頼だったのです。

僕はこの時点でピンときたんですが、たぶん多くのブライダル関係者にはあまり聞きなじみのない言葉なんじゃないかなぁと思います。

で、面白そう!と思ったので早速コンタクトを取りまして、一度お話させていただくことにしました。

ちなみにそのDMにはしっかり作り込まれたプレゼン資料も添付されました。熱量がすごい。


結婚式でやりたいこととは

企画の概要はざっと以下の通り。

・今年の秋に結婚式を開催予定であり、
・列席予定者の属性(出身大学や年齢層、企業役職者数など)はこんな感じで、
・列席される方に対して披露宴内での紹介や製品デモの設置、SNSでの告知などを行うので、
・製品やサービスの広報効果が高いことが期待できます。
・なお、特典内容ごとの協賛金額はこのようになっています。
・協賛いかがでしょうか?

個人情報にも関わるのでこれ以上の詳細についての紹介は控えますが、要するに結婚式をビジネスマッチングの場として活用しませんか?ということ。極めて濃い人脈の展示会って感じだと思います。

事前に資料を共有いただき、直接このプレゼンを聞いてみて、確かにまぁそうだし思いつくことはあるかもしれないけど、ここまでガチで準備して営業してるのすげぇってなったわけです。

いや、ほんとすごいんですよ。資料とか見せたいくらい。

僕はこういう話は好きですし、せっかくいただいたご縁なので弊社として協賛しようかなと思ってます。弊社サービスとしての期待効果は全くわかりませんけど、実際にお話させてもらってとてもいい人でしたしね。


結婚式で協賛を募ることを思いついたきっかけ

Aさんが僕に連絡をくれたきっかけはこの記事を読んだからとのこと。

・新郎新婦の負担0円でも結婚式は可能?「協賛型ウェディング」のビジネスモデルを考える
https://analogy.co.jp/blog/next-generation-bridal-model

記事内のモデルはAさんの企画とは異なるものの、結婚式の協賛を募ることについては共通点も多く、これを見つけて連絡してきてくれたみたいです。

去年リライトしているけど最初に書いたのは約3年前。

当時考えていたのは、結婚式のお金の流れって「ゲストの財布+新郎新婦の財布→ブライダル企業の売上」となっているわけですが、

・ゲストは減る
・新郎新婦も減る
・日本人の所得も増えないので相対的な経済的負担が増す

という社会的な背景から、この構造は長期的には限界を迎えるだろうと感じていて、ゲストと新郎新婦以外の第三の財布をどこかに作れないか?って感じでしたね。

ちなみに、記事内でもいくつか事例は出していますが、根本的な発想の着眼点となっているのはミュゼのビジネスモデルです。

***

●ミュゼマーケティング
https://musee-marketing.com/

ミュゼと言えば脱毛サロンのイメージですが実は脱毛だけで稼いでいるわけではなく、ミュゼを利用した会員情報をデータベース化し、その会員情報を外部企業がマーケティングに利用するときにフィーを支払う、というもの。

貴重なF1層の個人情報プールを安価な脱毛をフックに獲得し、そこに対するマーケティングフィーで稼ぐモデル。

僕も何回かプロモーション実施したことありますけど、商材によってはけっこう効果高かった記憶があります。詳しく知りたい方は見てみてください。最後に会ったのだいぶ前ですけど担当者も知っているので紹介もできるかも。

***

で、結婚式も個人との接点&情報の宝庫なんですよね(※個人情報の利用を積極的に推奨しているわけではありません。個人情報保護の観点などもあるので、もし利用してビジネスをする場合はちゃんと調べてください)。

日本全体で捉えると年間2,000万人くらいが列席しているのだからそれをうまく活用できないか?ご祝儀と自己負担以外の収益源を作ることで、新郎新婦とゲストの金銭的負担を合理的に軽減できないか?こんなことを考えてました。


協賛型ウェディングをビジネス化するのであれば

現時点で何社がどれくらい協賛しているかはわからないですが、Aさんの事例は成功するんじゃないかなぁと思っています。

ただ、結婚式を挙げる個人が全員協賛を募れるかというとそれは難しそうで、協賛企業がマーケティングのターゲットとするには対象となるN数少なすぎてコストかけられないだろうなぁっていうのが理由です。

なのでもしビジネス化するとしたら企業が主体となって実施していくのが現実的で、そうでなければウェディングの協賛限定のクラファンサイトみたいなのを作るって方法になると思います。

協賛したい企業側のアカウントに対し、新郎新婦側が結婚式のプレゼンできる場所を提供するイメージですね。ただ、事業化するならいろいろ超えなきゃいけない壁がありそうな割に利用者が増えずに儲からなさそうです。。

単独事業として利益を残すなら簡易なシステム作って企業に営業して利用してもらうって感じかなぁ。それかその情報をさらに他社と連携してデータ活用でマネタイズするか。

あと、外部企業が協賛するってことは結婚式の中に第三者の情報が入ってくることになるので、ゲストのご祝儀負担が軽くなるなどのゲストメリットとセットじゃないとあんまり浸透しないかなぁっていう気はします。

結婚式に行ったらご祝儀払って広告見せつけられた(怒)みたいなの印象悪すぎますからね。

分かりやすい例を挙げると、ご祝儀1万円でOKです、なぜなら協賛企業がお金出してくれるからね、その代わり引出物袋の中にサンプリング商品入ってても許してね。たぶんこんな感じのシナリオ。


結婚式の進化の発想

結婚式の進化については業界内でも様々な場所で話されていますが、「結婚式で協賛を募る」という発想は業界人が考えるそれとは、およそ異なるものでしょう。

ブライダル業界でお仕事をされている方は日頃から結婚式という商材そのものに直に触れているため、進化の発想の着眼点はどうしても近視眼的になりがちです。

このお客様にどうやったら幸せな結婚式の時間を作れるだろうかとか、今月の目標をどうやって達成しようかとか。

その辺りがまずは気になるポイントであり、そこをどう改善するかの順番で考えを深めていく。これは仕方ないし間違っているわけでもない。だからここが問題だと言っているわけではありません。

一方で、今回紹介したようなアイディアや企画が「顧客起点で」生まれているのも事実であり、こういった事例をどのように吸収していくかもまた1つ重要な視点じゃないかなと思うのです。

なので、こんなの結婚式の本質じゃない!とか反射的に拒絶せずに、なぜ顧客はこういった発想に至るのか?何を求めているのか?そういった事例を増やしていくには何が必要なのか?などをまず考えてみられるような空気感をつくっていきたいなと思います。


今回のまとめ

僕個人としては他業界の事例や社会全体の動向と照らし合わせてできるだけフラットに業界全体を見ようと心掛けているつもりではいますが、それでも一定のバイアスはかかっているでしょう。

業界を深く知ってしまっているがゆえに出てこない発想も、本当に先入観のない視点を持つ人からだと出てくることもありますし、形になっている事例もきっと多いと思います。

今回はたまたまご縁をいただけたので、このきっかけにまた色々考えていきたいなと思います。

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