研究デザインの信用度について
※X(旧twitter)で呟いた内容に一部修正を加えています。
研究デザインには、「どれくらい信用に足るか」という目安があります。
1.メタアナリシス
2.ランダム化比較試験
3.非ランダム化比較試験
4.コホート研究(前向き/後ろ向き)
5.症例報告
6.専門家の意見
細かく分けると色々ありますが、こんな感じです。
んで、このうち、番号が小さい(上)程信用できると言われています。
そうは言っても、正直用語がよくわからんとも思うので、ここは一つ、
「風邪の時にネギを食べると治る」という仮定について考えてみることにします。
一番信用度が低いとされているのが、専門家の意見です。
6.専門家の意見:とある学者先生が、「風邪の時にネギを食べると治るよ」と主張した。
ただこれは証拠も何も無いので、本当か? という疑問が……。
だって、その先生が思ったことを言っているだけですからね。
そこで次です。
5.症例報告:風邪の人にネギを食べさせたら治った。3人にネギを食べさせたけどもやっぱり治った。
さっきよりは良さそうです。実際に治ってるわけですから。
ただ、それでも「偶然では? 本当にネギが効いたの? 他の食べ物とか薬とかが効いた可能性は?」という疑問は出てきます。そこで、「対照」という概念が出てきます。
つまり、「ネギを食べていない人」を「対照」として、その違いを考えるわけですね。
4.コホート研究:風邪の人10人の生活を追いかけたら、ネギを食べてる人の方が治りが早かった。
これは、「ネギを食べた人」と「食べてない人」を比べてるわけなので、かなりそれっぽいですね。
でも、まだまだです。実は良くなった人がネギ「以外」を食べてる可能性もあります。
3.非ランダム化比較試験:風邪の人10人を入院させ、5人にはネギを、5人にはセロリを食べさせた結果、ネギを食べた人達の方が早く治った。
入院させて、「ネギ」と「セロリ」以外は同じ生活をさせてみよう、というわけですね。
ただ、まだ文句はつけられます。
それは、「元気だったり症状が軽い人にはネギを、重症な人にはセロリを食べさせたんじゃないか?」という疑問です。
なので、
2.ランダム化比較試験:入院させた風邪の人がネギを食べたか、それともセロリを食べたのか、本人や医者含め誰も分からないようにする。皆の風邪が治った後で答え合わせをする。
こうした結果ネギを食べている人のほうが早く治っていれば、まあまず間違いなく「ネギは風邪に効く」と言えますよね。
1.メタアナリシス:世界中で発表された結果を集めてきて、どの国でもネギが効いていることを示す。
これができれば、「全世界において、ネギが風邪に効く」と言えそうですね。
……長くなりましたが、こんな感じで、「どんな研究デザインがどれくらい信用に足るか」というのをイメージしてもらえると良いんじゃないかな、と思います。
勿論雑な説明なので、ちゃんとした説明が欲しい人は色々と調べてみてください。
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