目に映るすべてのものが 愛しくなるドラマ『Q10』
「ドラマ紹介」コーナーを作ろう、という話が出た時から
わたくし ひつじ合唱隊員は
手ぐすね引いて
このドラマを紹介できるのを待っていた……
ご紹介するのは ドラマ「Q10」(キュート)!
2010年10月期のドラマとして放送されました。
脚本は、木皿泉。
高校生の深井平太(佐藤健)の前に、
謎の女子高生ロボットQ10(前田敦子)が。
平太はQ10を起動させてしまい……
平凡で(このひと言で説明することの陳腐さ!)、
ちょっと冷めたところのある平太の日常が、
Q10によって、変わっていきます。
平太は頭を悩ませますが、
Q10がロボットだと知らないクラスメイトは
平凡(また使った!)な、でも、本人には大問題の
家の事情とか、コンプレックスとか、やりたいこととか、恋愛とか……
そんな悩みを抱えながら、日常を送っていきます。
(生徒たちは、豪華な顔ぶれ。
高畑充希、賀来賢人、柄本時生、池松壮亮、蓮佛美沙子、
福田麻由子、細田よしひこ。
わたしは特に、
河合役の高畑充希と、影山役の賀来賢人のふたりの関係が、
かわいくて、切なくて、大好き)
そして、Q10がロボットだと知っている、
あるいは知らない、
まわりにいる大人たちが、またいい。……すごくいい。
どこにでもいそうけど、個性的でどこかクセがあり、
それぞれに重ねてきた年齢分の重みがちゃんとある。
(それもそのはずの役者陣!)
そして、セリフが、とてもいい。
(平太のモノローグ、とってもいい)
バチバチに決まった「このセリフに痺れるッ」と
いうことではなく
いつもは見過ごしてしまう、ささやかな気持ちをすくいとり、
愛しさとか、心の痛みとかを
ヒリヒリと感じさせてくれます。
切なくうずくこの痛みが
理屈ではなく、胸にぐっとこみあげてきます。
学校の廊下のリノリウム。
学園祭の冷えた焼きそば。
心臓の音。
夕ぐれの空。
鉄塔。
何気ない日常の風景が、とても愛しい。
自分は、この世界とつながっているのだということを
確かめさせてくれる、最高のドラマです。