同じ日を繰り返す「ループもの」の魅力
今週から「映画紹介」をテーマに、
【ぶれるめん】のメンバーが
隔週で映画を好き勝手紹介していきます!
トップバッターはわたしく
カエル伯爵夫人が担当します。
それではさっそく、
この度紹介する映画はこちら!
「ハッピー・デス・デイ」
一応ジャンルはホラーとなっていますが、
コメディ感覚で
脳みそからっぽにして見られる映画です。
注:この先ネタバレあり
映画.comのあらすじには、
「誕生日に殺された主人公が目を覚ますと再びその日の朝に戻り、自分が殺される誕生日を何度も繰り返すことになる姿を描いた新感覚のタイムループホラー。」
と紹介されています。
この一日を繰り返す系の話というのは昔からよくありますよね。
「シュタゲ」とか「恋はデジャヴ」とか
最近では「サマータイムレンダ」とか面白かったです。
多くのタイムループ作品で扱われるテーマとして
「運命論」があります。
目の前には決められたレールが敷かれていて、
主人公が何度一日をやり直しても、
起こる出来事は大きく変わらない。
「ハッピー・デス・デイ」においても
主人公がどう行動を変えようとも
誕生日に死ぬという結果は中々変えられません。
この【変えられぬ運命=自分の死】に抗う。
というのが「ハッピー・デス・デイ」における
メインプロットです。
運命に抗う
って厨二心をくすぐるワードですよね。
結末が凄惨であればあるほど、
運命を変えたときの振れ幅は大きくなるし
主人公の目的も明確でわかりやすい。
もちろん
ループものの創作物はこの世に溢れているので
その作品ならではの魅力が必要です。
「ハッピー・デス・デイ」にも個人的に魅力的!
と思うポイントがあります。
それは……
主人公に魅力がない
魅力が必要
と言っているのに魅力がないというのは
どういうことか。
まず
魅力的なキャラクターを作るためには
「長所」と「短所」が必要。
なんてよく言います。
しかし、この映画の主人公には
およそ長所と呼べるところが見当たらないんです。
自己中心的で傲慢
世界は自分のためにあると思っているビッチ
というのが主人公の人物像です。
凄いでしょう?
ホラー映画とかスプラッター系の映画なら
中盤くらいに殺されるキャラクターですよね。
けれどこれが大事な要素で
そんな主人公らしからぬ主人公だからこそ
周囲から嫌われ、恨みをたくさん買っているわけです。
ミステリで用語で
【ホワイダニット(「Why done it」)】
という言葉があります。
これは、いわゆる犯行動機のことですが
この映画は
ホワイダニットを放り投げていると言っても
過言ではありません。
だって、犯行動機という観点で
誰が犯人でもおかしくないのだから。
だからこそ、どいつもこいつも怪しく見える。
つまり犯人がなかなか絞れないわけです。
そして、酷い言い方ですが
ろくでもない主人公だからこそ
作中で散々惨い殺され方・死に方をするにも関わらず
あまり胸が痛まないのです(笑)
この辺りは、ヘビーな内容なのに
あえてバカバカしく作ってる感もあるので
作り手にうまく転がされてるなと思いますし
それが全く苦痛じゃないのも好きな要素です。
ということで、
魅力のない主人公が活躍(?)する魅力的な映画
「ハッピー・デス・デイ」の紹介でした!!