ヴァイオレットのブローチが意味するところ。なぜ少佐の瞳の色なのかを解説!
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」より
注:読むにあたり、あくまで書き手の解釈でしかないこと、若干のネタバレが含まれる。という点を考慮の上、読んで頂ければと思います。
まず前置きとして、アニメーションにおいての演技についてお話します。
『演技』ときくと、登場人物のセリフや身振り手振りなどの動き、と思う方もいるかと思います。
しかしアニメにおける演技というのは、そういったもののみを指すわけではありません。
服がなびいたり
足跡がのこったり
ネイルの模様だったり
そういったものも演技ですし
それどころか
二人の間に電信柱が立っているのも
花が八分咲きなのも
演技であり、ちゃんと意味があります。
それら画面の中にあるものは、何かしらの意味を持って己の役割を『演じている』のです。
それらは多くの場合、登場人物の心理描写として用いられますが
その中でも登場人物の瞳というのは非常に重要な要素と言えます。
瞳というのは時に、セリフや行動以上に、感情を伝えるための装置としての機能を果たします。
目を細めてみたり
瞳孔が大きくなったり、小さくなったり
瞳にあたる光が揺れ動いたり
そんな風に細やかな感情の機微を、瞳の動きを使って表現します。
さて、ここで「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」に話を戻します。
作中でヴァイオレットが身に着けているブローチは「少佐の瞳と同じ色」という言葉が繰り返しでてきます。
少佐とはそもそも、ヴァイオレットに初めて感情=人間性を与えた人物です。
つまり、『少佐の瞳と同じ』というのは、ブローチがヴァイオレットにとっての人間性の象徴である、ということを意味しています。
そもそもヴァイオレットという人物は、感情表現が豊かな人物ではありません。
その生まれたばかりの感情を、表情やボディランゲージを使って大きく表現するような人物ではないのです。
そんな、ヴァイオレットの心が揺れ動いたとき
たびたびカメラはヴァイオレットのブローチにフォーカスします。
そして、ブローチにあたる光が揺れ動く演出が入ります。
もうお分かりかと思いますが、
ヴァイオレットのブローチは彼女にとっての『人間性』を表すバロメーターである、ということです。
機械として生きてきたヴァイオレットのわずかな感情の揺れ
それをアニメーションの中で視聴者に伝えるための装置が
『少佐の瞳と同じ色』をしたブローチです。
つまり、ブローチの光がゆらめくことで、
『ここはヴァイオレットの感情が揺さぶられた瞬間ですよ』
というのを見る側にそれとなく伝えているわけです。
人間性を象徴するブローチが、何よりも大切な少佐という人物の瞳の色なんて―――とてもロマンチックですよね。
こうして、作中ではヴァイオレットという人物の
微妙な感情の機微を表現するための演技を、ブローチにさせている
のです。
こういった演出はアニメならではの技法であり、制作陣の技術力がいかに優れているかがよくわかりますね。
他にも「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見て、こんなところに気づいた! などあればコメント欄に記入してぜひぜひ教えてください。
駄文にて失礼しました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?