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電気泳動を利用する組織抗体染色法
電気泳動法を利用する免疫染色 eFLASH
eFLASH法は、電気泳動を活用した組織免疫染色方法です。この電気泳動を活用する事例として、CLARITY組織透明化技術があります。CLARITY法では、SDSの電気泳動を組織全体に施すことによって、組織内の脱脂を強力に行なうことができます。これは陰イオン性界面活性剤であるSDSが脂質の周りに吸着し、ミセルを形成すると、電気泳動によってプラス方向に移動する仕組みを利用しています。
eFLASH法では、この電気泳動で大分子である抗体を組織の深部へ高速にアクセスすることができます。この方法では陰イオン性界面活性剤として、NaDC (Sodium Deoxycholate) を利用しています。NaDCはpHによって抗体との親和性が変化することが知られています。そのため、電気泳動によってもたらされる溶液のpH変化を利用することによって、抗体の組織中の抗原の反応性を制御することが可能です。この現象を利用して組織の抗体染色を均一かつ高速に行なうシステムがSmartLabelです。
〇NaDCの特長
高pH (pH~10)では、抗体と強くNaDCが吸着するため、抗原抗体反応を抑制する
中pH (pH~8)では、抗体とNaDCの結びつきが弱まるため、抗原抗体反応が起こるようになる
電気泳動の初期では、NaDCを含む反応溶液はpH10付近に維持されています。そのため、抗体は電気泳動によって組織の内部に拡散はされますが、抗原に結合しません。電気泳動時間に依存して、バッファーのpHが下がると、抗体が抗原と反応するようになります。このようなメカニズムを利用することで、組織全体に均一に抗体を分散させることが可能になりました。
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