今回は慢性活動性EBウィルス感染症(CAEBV)について語ります。
CAEBVは希少疾患の一つです。
原因となるEBウィルスはヒトにおいて成人するまでほぼ確実に感染しますが、大抵はB細胞というリンパ球に潜み、一生を通して何の症状も起こすことはありません。
そのEBウィルスがごくまれにT細胞やNK細胞に感染し、発症することがあり、これをCAEBVと呼びます。今回話題になったのが、CAEBVの治療薬候補としてルキソリチニブの第II相試験です。
JAK1/2 Inhibitor Ruxolitinib for the Treatment of Systemic Chronic Active Epstein-Barr Virus Disease: A Phase II Study | Blood Neoplasia | American Society of Hematology
CAEBVはこれまで有効な治療薬がなく、同種造血幹細胞移植が行われていましたので、こちらの治験結果は大きなニュースです。
Chat GPTで要約したところ、こんな感じになります:
本試験の限界点はOpen label試験かつ対照群がいないことで、従来の化学療法と比較した優位性が論文の中だけではわかりません。それでも一つでも選択肢が増えるのは良いことだと思います。今後、さらなる有力候補が出た際のベンチマークにもなり得るのではないでしょうか?
さて、論文を読んで、CAEBVはどのようにして感染・発症するのかが疑問に出ました。
CAEBV全般については下記の記事があります。
<905688E42E736D64>
EBVはB細胞に特異的なCD21という抗原を介して感染しますが、このCD21はT細胞にもわずかに発現しているそうです。それに加えてNK細胞もB細胞との接触によってCD21が発現することもあり、これらの細胞からEBVが感染するのではないかと考えられます。感染、そして発症する確率がどれくらいあるのか、感染予防・感染後の防衛機構が気になるところです。