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水質と酒の味わい
酒の話の続きです。
ただ日本酒を好きだと語る雑談|バイオリサーチセンター (note.com)
「灘の男酒、伏見の女酒」という言葉があります。これは兵庫県の灘で作られる酒が力強いのに対し、京都伏見の酒は口当たり柔らかであることを表しています。
灘の酒が「男酒」と呼ばれるのはなぜ?男酒・女酒の由来とは - 酒みづき (sawanotsuru.co.jp)
灘では「宮水」という江戸時代末期に発見された水源が醸造に使われており、リンやカルシウム、カリウム等のミネラルが豊富な中硬水。麹や酵母が活発に働き、酸が多い辛口になります。一方、伏見では「御香水」と呼ばれる軟水を使うことで、発酵がゆっくりと進み、酸が少ない口当たり柔らかな味わいになります。
日本酒の水については下記のような考察もあります。
日本酒の味わいと地質の関係の一考察 (affrc.go.jp)
こちらでは硬度や地層と日本酒の関係をまとめられています。それによると硬水で仕込んだ酒はやや辛口、軟水はばらつきが大きくて淡麗・辛口が多い傾向にあるとのことです。
ちなみに先述の灘は花崗岩の砂礫、貝殻層、海進の影響で硬水になり、辛口の傾向が出ているとのことです。
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上記データの留意事項としてはそもそも全サンプル中の酒が淡麗・辛口が多いこと、地域が東日本に偏っているところにあります。特に前者の部分は仕込み水の情報が得られやすい銘柄が偏っているとのことですが、これは平成から続く淡麗辛口のトレンドもあると考えられます。
日本酒の味は時代の移ろいとともに濃醇甘口(~江戸中期)→濃醇辛口(江戸末期~明治)→やや濃醇の甘口(大正~昭和)→淡麗辛口(平成~)と傾向が変わってきており、技術発展や社会情勢の影響を受けております。こちらの掘り下げについてはまた別の機会に話したいと思います。
日本酒の味は水だけで決まりません。酵母や麹、酛(もと)の作り方などでも様々な味わいが生まれます。これらの要素も含めてサンプルを集めつつ、解析するとより面白いデータが出るのではと考えております。
これから口にする一杯から、土地とその背景へ思いを馳せるのも良いかもしれません。