25年間の音楽史 ≪Part.5≫2020年代編 その②
■2020年代編 その⓶
少し時間を戻して、2016年に目を向けたいと思います。
この年、世界最大の映画賞である米国アカデミー賞で、ある問題が取り沙汰されました。
それは、賞の主要部門に白人俳優・監督・脚本家しかノミネートされなかったことでSNS上に「#OscarsSoWhite」というハッシュタグが広まり、批判が集まったというもの。この一件は「白すぎるオスカー」と呼ばれました。
また、2017年公開の映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」にて、アジア人キャラクターの草薙素子役に白人女性のスカーレット・ヨハンソンをキャスティングしていることについて、人種的な不適当、非白人の役を白人が演じるホワイトウォッシングである、といった論争が起こるなど、映画業界を中心にダイバーシティ=多様性への理解を求める運動が起こり始めました。
それは、人種だけでなくセクシャリティ=LGBTQやルッキズムなど、様々なマイノリティについて世界が目を向けるきっかけとなりました。
当然ながら、その影響は同じくエンターテイメント産業である音楽業界にも多大な影響を及ぼしました。
様々なアーティストが、自らのセクシャリティについてカミングアウトし、それを“誇り”として活動を続け、多くの音楽ファンから支持を集めました。
アフリカン・アメリカン女性であるLizzoは、それまでスリムで容姿端麗なアーティストを重視してきた音楽業界おいて、体型の多様性を促進するアイコン的存在として人気を博し、Lizzo自身が自らの体型や見た目について自信を持って表現することで、自己肯定感を高め、多くの人にインスピレーションを与えています。
そして、この多様性への理解を促すムーヴメントは、欧米ではその言語的問題、人種的問題で見向きもされなかったアジアの音楽、カルチャーに対する評価へと繋がっていきました。特に、国策として自国の文化をマネタイズするべく、”K-POP”を産業として欧米に輸出してきた韓国は、大きな成功を収めてます。
次回は2020年代編その③。K-POPのグローバル展開に注目!!