確率を上げるには
僕は選手時代2つの大きな弱点に悩まされていました。
独走力、ヒルクライム力です。
逆に他の選手よりも強かった部分もありました。それはスプリント力と、ポジショニングです。
高校1年生の時、全国でも有名なヒルクライムレース、マウンテンサイクリングin乗鞍に出場し、高校生のカテゴリーで優勝しました。
え?なんだ上りも得意なんじゃないですか!
とこの結果だけ見るとそう感じてもおかしくありませんし、ご多分に洩れず僕もそう感じて、上りのトレーニングばかりしていました。
ただ、高校生の大会はトラック競技が主で、結果につながるロードレースが少なかったので、普段はヒルクライムトレーニングを、最低限トラックレースで活躍できるようにスプリントのトレーニングをよくしていました。
なぜなら、スプリント力が少しでもあれば勝つ確率が上がると考えていたからです。
この勝つ確率を上げるという事は、選手にとってもっとも重要なキーワードになっているでしょう。
年齢が上り、海外へ出てみると自分自身のヒルクライム能力の低さに愕然とし、逆にスプリント力ならなんとか結果に結び付けられる力がある事がわかりました。
自分が得意だと思っていても、1つ外に出たら逆に趣味程度にやっていた能力の方が武器になっている事があります。
特にジュニア層やその前のカテゴリーの選手はこのスプリント力、特に体を速く動かす能力を鍛えておいた方が良いです。
年をとるにつれて、自転車の上で過ごす時間が長くなるにつれて、スプリント力は衰えていきます。高校生の頃は1日1h~2h、週でも15時間ほどのトレーニングでしょうから、遊び程度に走るとちょうど良いトレーニングになるでしょう。
具体的な僕が行なっていた例をあげると、1000m ITT、3000m ITT、200mハロンはとても良い指標になるトレーニングでしょう。
1000mと3000mに関しては、目標タイムに対してギア比を設定し、クリアしたらギアを上げ、次の目標値に向けてトレーニングをしていました。
例えば1000 ITTでは48x15で1'8"68がもっとも速く走っていた1000mのタイムでした。逆に3000m ITTでは4'45と苦手な分野でした。
200mハロンは11'32とトップスピードはあまり得意ではありませんでした。しかし200mのスタンディングは、オリンピック強化指定タイムで通過できるくらいの加速力を持っていました。
こうしてみていくと、得意な分野、苦手な分野が見えてきます。得意な分野の中にも苦手分野が存在します。得意な中の苦手を克服すると、もっともっと勝つ確率が上ります。確率が上がると、活躍できる場所が増えるので、自分に自信がつきます。
全てにおいて速いことは素晴らしい事ですが、今後自分が活躍するであろう場所で、自分の能力を発揮するためにはどこを強化するべきか。
そして、苦手分野をレースの場で最低限必要なレベルに上げるには、何が必要か。レースは全ての要素が詰まっています。
レースの後に何が足りなかったのか確率を上げるためのメモをとると良いでしょう。
昨日よりも少し強くなった自分を小さな成功体験を増やしていくと、場面場面でやらなければいけない事を判断できる選手になれますよ。
毎日少しづつ成長していってください。