子どものころの夏休み
子どもの頃、私は夏休みが大好きだった。
あの頃を思い返すと懐かしくて眩しくて仕方ない。
大好きだった理由は、ずばり祖父母の家で、しこたま甘やかしてもらえるからだ。
私は関東在住だが、祖父母の家は関西と四国にあった。
京都駅で新幹線から降り、あのなんとも言えないむしっとした熱気を浴びるところから、私の最高の夏休みは始まっていた。
夏休みの自由研究は京都でお寺や神社に行き写真を撮りガイドブックを作っていた。
毎年載せるお寺と神社、表紙だけ変えて、構成は同じだ。
工夫する気0だった。
夏休みの宿題をやりつつ、毎日観光に繰り出していた。
京都は言わずもがな、観光スポットもグルメスポットも本当に多い。
老舗から最新スポットまで揃っていて、毎年行っても全然飽きない。
もちろんデザートも毎日欠かさず食べていた。
有名なお店の抹茶パフェを食べるのはもちろん、コンビニの新発売のアイスも食べていた。
背丈は大人である今の方がもちろん大きいのだが、胃袋だけは学生の頃の方が圧倒的に大きかった。
そして京都から四国の祖父母の家に行くのだが、ここでもひたすら食べていた。観光・グルメスポットはあまりないのだが、おばあちゃんの作る料理が、信じられないくらい美味しかった。
ご飯の直前に、畑から茄子やトマトなどの野菜を収穫してきて料理をしていた。ミニトマト、茄子のおひたし、そばの麦の入った汁物、梅干しのおにぎり、大きな卵焼き…
とてもシンプルなのに、私の人生であれを超える和食にまだ出合ったことがない。あんなにシンプルなのに、あんな美味しいなんて今考えても魔法のようだ。おばあちゃんに秘訣を聞いても、何にもしていないと言っていたが、もっと本気で聞き込み調査しておけばよかったと思う。その一方で聞いたところで私があれを再現できる気は全くしない。あれはおそらくおばあちゃんの熟練の技だったと思う。
そんなこんなで、学生の頃私は帰省の10日弱で毎年3キロほど太って帰って来ていた。幸せ者だ。
今が不幸という意味ではないけど、この時間が一番、何にも縛らず自由で且つ祖父母の愛情を受けまくる幸せな空間だった。
いつか1週間くらい夏休みを取って、子どもの頃のこの夏休みを再現したいと思う。