松本人志さんが文春への告訴を取り下げた件について

 普段は羽生結弦さんを応援するnoteを書いてますが、今回は表題の件を書いています。羽生さん要素はほぼ無いです。性被害について言及してます。楽しい事は書いてません。苦手な方はブラウザバックして下さい。 

 昨年12月、文春に羽生結弦さん及びご家族を告発する男性の記事が載りました。同時期に松本人志さん(以下松本さん)に性行為を強要されたと告発する女性の記事が載りました。この2つの記事を「虚偽の告発を記事にして貶めている」という文脈で同一視する意見が散見されましたが、私としては真実相当性という意味で全く別物と思ってます。性行為の強要については記事が出た当初より真実だろうと受け止めており「とうとう出たね」という印象しかありませんでした。そう思う根拠はこちら。

自分が若いころ、よう女遊びしてたおっさんに限って、自分に娘ができたらごっつい娘を大事にするんですよね。ああいうのはイヤやろ。オレなら、自分に娘ができて、そいつがいろんな男に輪姦されようが、それはもうしゃあない、と思う。それは自分もやってきたことやから。

松本人志さんの自著「遺書」より

遺書に書かれた一節、告発記事における後輩芸人の役割、それらを踏まえて考えると「権力勾配を考えたら拒否しにくい関係を利用して女性の性を後輩からの上納品として享受してきた」という事ですよね。遺書の発売は1994年9月22日、告発した女性が被害に遭うよりずっと以前であり、昔からこういう事を繰り返してきたと推測されます。それは松本さん側の弁護士が第1回口頭弁論(今年1月に名誉を傷つけられたとして慰謝料と記事の訂正を求めて文春に民事訴訟を提起) で『週刊文春』が報じたA子、B子についての特定を求めた事からも伺えます。要は訴えそうな女性が何人もいるから特定を求めた、と言う事ですよね。(もしくは二次被害で追い詰める事が目的か?) 今まで黙認され続けてきた事で「許容されている」という認識を強固なものとし「同意があった」と言ってしまう所に認知の歪みが表れていると思う。(11/14追記:厳密には「同意を得ずに、性行為を強制したことは一度もない」と主張) それは同意じゃないから。
 11/8、松本さんは女性への謝罪と文春への告訴取り下げを発表しました。訴えた側が告訴を取り下げて謝罪したのだから普通に考えて女性の告発は真実だったと言えるでしょう。ところが発表文は被害の矮小化を図る文言に終始し、読んでいて不快感しかありませんでした。具体的には以下の2点。「強制性の有無を直接に示す物的証拠はない」のくだりは複数の証言をスルーして推定無罪とでも言いたいのだろうか?ちなみに民事事件に推定無罪は関係ありません。ホテルに連れ込んで携帯電話を取り上げられたら証拠なんて残せない。警察に行かないのが悪いかのように言う人がいるけど、被害に遭った直後に冷静な判断は難しいし、被害を訴えられる精神状態を取り戻すには相当な時間を要します。最近では検事正が部下の検事に性的暴行をした事件の初公判がありました。

法律のプロである女性が初公判に辿り着くまでに約6年かかってるんです。文春に告発した女性が8年かかって漸く告発に踏み切った事になんら不思議はありません。時効の壁、証拠の壁を考えると文春に訴えるしか方法が無かった、というのが問題なんだと思う。2点めは「女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」のくだり。これはお詫びじゃない。実在する被害者を「いらっしゃったのであれば」と仮定法で語り、存在を不確かなものとして被害の矮小化を図ってるに過ぎない。案の定、ネットでは「証拠はなかった、無罪放免」の空気感で語る人が沸いていて閉口した。テレビ復帰に向けた工作ですか?と勘ぐりたくなる。松本さんは裁判で記事の訂正を求めていたけど訂正させる事は出来なかった。この事実をメディアは重く受け止めてほしい。テレビ復帰とか本当にやめてほしい。

 ジャニーズ問題が世間を騒がせたのは昨年。メディアが黙認し続けた事で被害は拡大したと思ってます。また黙認するのでしょうか?また外国メディアが介入しないと襟を正せないのでしょうか?そうあってほしくありません。そのためにも声をあげねばと思いこのnoteを書きました。あげた声は残る、と思ってます。
 最後に、女性のインタビューが載っている記事を貼っておきます。この声を無かった事にしたくない。よく声をあげてくれたと伝えたい。被害に遭われた方達が前に進めるよう願ってます。


追記
参考資料


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