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オーストラリアで私立高校の授業料無償化が不要の理由。年間授業料45万円の日本と400万円のオーストラリアの違い
最近の報道によると、私立高校の授業料を無償化する方向で各党の協議が進んでいるとのこと。今後、私立高校の授業料は、公立高校と同じく所得制限を撤廃し、完全無償化される予定です。
私立高授業料無償化賛成の意見
経済的な理由で私立高校を諦めざるを得ない生徒にとって、無償化は大きなチャンスとなる (教育機会の平等)
教育は個人の可能性を伸ばす上で重要な要素であり、経済状況によって進路が左右されるのは不公平
私立高校の無償化によって、公立高校に集中していた生徒が分散され、結果的に公立高校の教育環境改善に繋がる
私立高校授業料無償化反対の意見
私立高校の無償化には多大な費用がかかる。その財源をどうするのか
公立高校に通う生徒との公平性、私立高校に通う裕福な家庭への税金投入など、議論されるべき課題がある
無償化によって私立高校の質が低下する恐れがある
私立学校運営の透明性、教育内容のチェック体制など、質を維持するための仕組みが必要
Yes!の意見
海外基準で見ると、公立高校の授業料無償化は賛成、私立高校の無償化には反対です。
しかし、日本の私立高校は、これから述べるように、海外の私立高校と大きく異なる特殊性があります。この特殊性を考えると、日本の私立高校の授業料無償化は、一部止むを得ないと考えます。但し、所得制限は必要。絶対に撤廃してはいけません。
私立高校進学を選択する理由 (日本)
超難関大学合格が可能 (一部の中高一貫の高偏差値校)
甲子園などの全国大会に出場し有名になれる (一部のスポーツ強豪校)
入学試験なしで系列の大学に進学できる (大学の附属校)
公立校にはない個性的な教育理念 (宗教母体校など)
公立高が希望だが、学力的に諦めて私立高に進学
授業料が年400万円でも希望者殺到! オーストラリアの私立高校事情
オーストラリアでは、私立高校はエリート教育の象徴と見なされています。高額な学費に見合うだけの教育水準、進学実績、多様なプログラムが、多くの家庭を惹きつけています。
私立高校の中には、キリスト教系の宗教団体が経営母体となっている学校が多数です。これらの学校は、宗教教育をカリキュラムに組み込んでおり、学校の運営方針に宗教的な理念が反映されている場合があります。
オーストラリアでは、子供を私立高校に進学させる家庭が全体の3割ほどあります。
私立高校の授業料は何と年間約400万円ほどです。寄宿舎に入れると更に年間300万円。私立高校に子供を入学させるには、通学の場合でも、6年間で最低2,400万円かかます。かなり裕福な家庭でないと、子供を私立高校に入学させることはできません。
私立高校入学者は全員私立希望者。入学競争率も高く、親は子供が誕生した時点で入学を申し込みます。
授業料は無料 希望者全員が入学できるオーストラリアの公立高校
オーストラリアでは、希望者全員が公立高校に入学できます。(一部の選抜校 Selective High School を除きます)
(注)オーストラリアの教育制度では、中高6年間の一貫教育
尚、公立高校では、授業料無料です。
選抜校を除き、生徒の教育レベルはあまり高くないようです。
高額な学費でも私立高校進学を選択する理由 (オーストラリア)
オーストラリアの私立高校の授業料は確かに高額ですが、それでも多くの親が、下記の理由で子供を私立高校に入学させています。
質の高い教育を受けられる
名門大学への進学率が高い
充実した施設や設備が整っている
独自の教育理念やプログラムを持っている (音楽、スポーツ、芸術など)
手厚い学校のサポートを受けられる
長い伝統と独自の校風がある
将来のキャリアに有利 (オーストラリアでは、卒業大学より卒業高校が重視される)
親が信仰する宗教教育を受けられる
私立高校が公立高校の受け皿になっている日本の教育システム
日本では、学力的に公立高を諦め、止むを得ず私立高校に行く生徒が多いと聞きます。私立高校が公立高校の受け皿になっているのです。今まで、国や都道府県が、希望者全員が授業料の安い公立高校に入学できる体制を作って来なかったからです。こんな国、海外には存在しません。
オーストラリアで私立高校の授業料無償化が不要の理由
全員が、私立高を希望して入学
ほぼ裕福な家庭の生徒。高額な学費が経済的に負担になることはない
日本と違い、公立高を諦めて私立高に入学する生徒はいない
Yes!の提言
希望者全員が公立高校に入学できるように日本の教育システムを改革する
公立高校の授業料無償化は賛成
私立高校の授業料無償化は、日本特有の事情により条件付きで賛成
私立高校の授業料無償化は、必ず所得制限付きで実施すべき
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