電動ガン ギアについて
今回は電動ガンのギアについてのお話です。
以前投稿したこの記事の補足になります。
ギア比や扱い方、セクターカットについて、ギア比ごとにこれまでカスタムしてきた内容を纏めてみようと思います。またしもこの記事は「沼にハマった側」の意見になります。なので最適解・最適なやり方という話ではなく、いろいろ試して引き出しを増やしていくしかないのかも・・というお話です。
注意点
強いスプリングについて注意点があります。モーターのトルク、ギアのトルクが強ければ、強いスプリングを引くことが出来ます。初速が超えない様に注意なのは当たり前ですが、それ以外に隠れた危険があります。
ギアの軸が歪むことがあります
強いスプリングを引くために十分なギア比、モーターのトルクがあっても、ギアの軸がそれに耐え切れないことがありました。ある日突然電動ガンのヒューズが飛んで、分解したところベベルギアのシャフトがひん曲がっていました。ギア比やモーターの性能が優れていても、カスタムにはこのような落とし穴があります。
セクターギアにボルトがある場合、緩んでるかも
必ず緩みチェックと、緩んでいた場合はネジロック剤で固めましょう。
ギア比について
東京マルイスタンダード電動ガンをはじめ、基本的には18:1というギア比が採用されています。これは、モーターが18回転すると1発発射されるという意味です。ざっくりですが、1発発射するのに必要なモーターの回転数が多ければハイトルク・ロースピード、少なければロートルク・ハイスピードになります。
18:1ギア
標準トルクと言われています。ハイトルクモーターを使うことでレスポンスを上げたり、バッテリーの性能を上げることでレスポンスを上げることが出来ます。あまりギアの事は気にせずカスタムが出来るというメリットがあります。
16:1ギア
こちらも標準トルクの部類に入ります。VFCが採用していることが有名かもしれません。18:1と同様の方法で、あまりギアの事は気にせずカスタムが出来るというメリットがあります。
14:1 13:1 12:1ギア
ハイスピードギアと呼ばれています。モーターがおおかた13回転すると1発発射できますが、早すぎてピストンが前進し切る前にギアが回って来てしまうため、ピストンの歯を14枚から11枚に削減したり、セクターギアの歯を削減したりといった調整が必要です。歯が減った分初速が下がります。それを補うためにスプリングを強化する必要があるため、上記に紹介したハイトルクモーターに交換する必要もあります。確実なレスポンスアップが可能な反面、調整が必要なギアです。
電子トリガーでセクターギア位置を制御できるのであれば、歯を削る必要が無さそうに思えますが、最初の1、2発は制御がかからない場合があるため、その時に故障する可能性が高いです。
9:1 DSG ダブルセクターギア
モーターが9回転すると1発発射できます。これは標準トルク18:1の2倍のサイクルとレスポンスを引き出すことができます。しかし、かなり調整が大変です。ここでは詳しい調整方法は紹介しませんが、理論上、サイクルが2倍になるということは、本体の寿命が半分になると言うデメリットもあります。ピストンストロークが短くなることで初速が低下、それを補うためにかなり強いスプリングを入れる為、結果的に本体にかかる負荷が最も高いギアであることは知っておいた方が良いでしょう。
100:200 100:300 ヘリカルギア
数値がよくわからないですが「めっちゃトルクに全振りしたギア」です。
100:200=24:1
100:300=27:1
とても強いスプリングを引くためのギアです。ヘリカルギアには静音性があると言いますが、歯の形状が違うので音が独特になります。モーターのピニオンからヘリカルにするタイプと、ベベルギアとスパーギアが当たるところからヘリカルになっているタイプもあります。
アングスの0.9Jスプリングよりも強いスプリングでないと、ギアのトルクが強すぎてセミオートがオーバーランします。
32:1ギア
「めっちゃトルクに全振りしたギア」の中で最もトルクの強いギアになります。こちらは、ピストンを32:1専用の形状のものに変えないと使えません。
R85 ギア (専用品の長いピストン用)
ネット通販等でたまに見かける方もいると思います。R85ギアとは、セクターギアの歯の枚数が19枚あるギアです。通常の18:1〜12:1のギアは、おおかたセクターギアの歯は16枚です。ギア比は18:1くらい(純正品と同じ)
何に使うギアかというと、通常のメカボックスとは違う専用の長いメカボックス用になります。メカボが長いと言うことは、ピストンも専用の長いものが使われていて・・・つまり気にしなくて良いです!
このギアはG&GのL85やSR-25といった、通常より長いメカボックス、ピストン用のギアです。
ですがネットでは様々な情報が錯綜していてややこしい事になっています。商品も物によってはセクターギアの歯が16枚だったり、Ver7メカボに使えるとか、よくわかりませんので気にしなくて良いです!
セクターカットについて
基本的に、セクターギアをカットする場合は、同じ枚数ピストンの前側の歯をカットした方が良いです。そうしないと、思わぬタイミングでピストンとギアが衝突して故障する恐れがあるからです。
セクターカットをする理由 ①ギアの衝突防止
理由は様々ですが、主な理由の1つはギアとピストンの衝突防止です。
(セクターギアが一回転して、ピストンが前進している途中でセクターギアがもう一周してきて衝突→故障する)
ギア衝突のよくある原因
●モーターが高回転になるもの(強いバッテリーを入れた、モーター自体が高性能)を入れた時。
●13:1のようなハイスピードギアを入れた時。
●フルシリンダーを入れた時
ピストンの前進スピードが遅くなって衝突
●エアブレーキピストンを入れた時
ピストンが手前で一瞬止まるため、その時に衝突
●インナーバレルを伸ばした時
バレル内にBB弾が滞留する時間が増える分、ピストンの前進スピードが遅くなる
セクターカットをする理由 ②給弾不良防止
主な理由の2つ目は給弾不良防止です。
ギアの回転が早すぎて、タペットプレートという給弾に必要な部品が適切に動作しないことがあります。セクターギアの引き終わり側を何枚かカットすることで、発射のタイミングを早めて対処することができます。
(重要)中華系強化ギアのセクターカットについて
SHSや中華系の強化ギアは、東京マルイのギアとはタペットプレートと歯の関係性が異なります。
中華系強化ギアを使用して二重給弾や、一発発射したらもう一発がコロコロと銃口から出てくる症状がある場合は、セクター引き終わりのみをカットすると改善される可能性が高いです。絶対に「引き始め」をカットしないで下さい。沼にハマります。
よくあるパターンとしては、13:1ギアを使用した場合、ハイスピードモーターを使用した場合、11.1vを使用した場合、引き始めをカットすると上記のような症状が出るだけでなく、発射前にタペットプレートが後退を始めてしまい初速低下します。良いことが何もありません。
この場合は「引き終わりのみ」を3枚から4枚カットすると良いでしょう。
18:1でも100:200のヘリカルでも「引き終わりのみ」を1枚から2枚カットすると良いでしょう。
ここまで書きましたが、必ずしもセクターカットをしなければいけないわけではありません。というのも、ギアの衝突に関してはモーターの回転数を遅くするかギア比を変える事で対応可能ですし、給弾不良に関しては、タペットプレートの形状を加工して対応することもできます。お好みに応じて理想なセッティングを施すには、何でも試して引き出しを増やすしかないと思います。これが「沼にハマる」ということです。
ギア比ごとのカスタムの方向性について
各種ギアについて、これまでの経験をまとめて行こうと思います。
東京マルイ製のギアについて
結論から言って、東京マルイ製のギアには強いスプリングは入れない方が良いと思います。これはスタンダード、ハイサイクル、次世代、プラスシリーズ、ショットガン、電動ハンドガン全てに言えます。最近ではセクターギアがメッキ処理されて強化されているとはいえ、私の経験上、スプリングを強化するとスパーギアの歯が根こそぎ粉砕します。ピストンの歯も粉砕します。社外品で東京マルイ対応の強化スプリングが売られていますが、明らかに寿命が半減します。
これは東京マルイ製のギアが粗悪だからという事では決してなくて、彼らの設計思想によるものです。「ギアかピストンが先に壊れれば、他に故障が波及しないから安全である」という考え方です。メカボックス内で故障が完結すれば、使い手が怪我をすることはありません。これはメーカーとしてユーザーの安全性を第一に考えている証拠であり、とても素晴らしい判断だと思います。ギアだけでなく、ピストンがスプリングに固定されていて、万が一メカボックスが割れてもスプリングが勢いよく飛び出しても、それがどこかに飛んでいくこともない様に作られていたり、スプリングガイドも樹脂製で、人に当たってもダメージが少ないように考えられています。
逆にいえば、強いスプリングに耐えられるカスタムをした場合、故障が完結せずにメカボックスが破損してスプリングが飛び出してしまう等の危険が伴っていると言えます。スプリングガイドも金属製のため、怪我のリスクはかなり高いです。
ギア及びギア比を変える
はじめに、東京マルイ電動ガンに上記のスプリングやピストンを組み込んだ場合であれば、おおかたギアが先に破損するので純正ギアを交換すれば使用し続けることが出来ます。純正ギアの値段が高いので、鋼鉄製の強化ギアに変えれば耐久性が上がるだろうと考える気持ちもわかります。しかし実際のところそれを行うと、まず樹脂製軸受けが破損します。軸受けをメタルにすると、その負荷がメカボックスケース自体に及んでしまうため、理論上は寿命は縮みます。しかしすぐに壊れるということはないので、私は「なら良いや」という結論の元で、強化ギアとメタル軸受を組み込んでいます。
ギアを変える目的
●強いスプリングの負荷に耐えるため
ギア比を変える目的
●モーターの負荷低減
●強いスプリングを引くため
●セミオートのレスポンスとフルオートのサイクルを上げるため
強化ギア
高いものから安い物までありますので、それぞれの特徴をご紹介します。
ライラクス EGハードギア
こちらは最もスタンダードな強化ギアかと思います。何と言っても精度が高いです。ギアノイズが少なく、ギア比のバリエーションも18:1、13:1、ヘリカルの3種類が用意されています。また、東京マルイM14専用ギアも用意されています。
フェニックス ハイプロテクションギア
こちらはモケイパドックさん監修の強化ギアです。ガッチガチに固めるというよりは、応力を逃す事で耐久性を実現するというコンセプトがあるようです。お値段が張りますが、単品でセクターギアだけ変えたりと、部分的に組み込むことが出来ます。なので東京マルイM14のようにスパーギアが専用設計でも、セクターギアのみ交換することが出来ます。
海外製 鋼鉄製強化ギア
SHSやBIG DRAGONといった、中国製、香港製、台湾製の製品群です。何よりも値段が安いです。お手軽ゆえに人気なアイテムですが、注意点としては不良品に当たる可能性があります。私も使っているのですが、まず軸が真っ直ぐかどうかは必ず確認した方が良いです。また、メカボックスの形状的には、メカボックスの一部を削るといった加工をしないといけない場合があります。M14用の専用ギアがラインナップにない場合があります。
18:1 16:1ギア
セクターカットせずに使用しても大丈夫というか、フルストロークでスプリングを引いて初速を引き出すこともできます。サイクルやレスポンスを上げたければモーターの交換が一般的ですが、回転数が早すぎてギアとピストンが衝突する場合はセクターカットが必要です。
フルストロークで初速が引き出せて、なおかつギアが衝突しない速度のモーターを組み込むと良いでしょう。
経験したセッティング
●7.4vリポ、8.4〜9.6vニッケル水素バッテリーを使用
基本的にセクターカットしなくても大丈夫でしたが、Cレートの高いバッテリーにした場合は、セミオートのレスポンスが早い順に入っているモーターを使う際にはセクターカットしないと給弾不良やオーバーランする場合があります。
●セミオートのレスポンスが遅い順(フルオートのサイクルは普通)
東京マルイEG700モーター
LONEX A4モーター
東京マルイEG1000モーター
SPARKのINAZUMAモーター
H.T.Gの玄モーター
●セミオートのレスポンスが若干早い順(フルオートのサイクルは遅い)
AOLS ハイトルクモーター
G&Gバジリスクモーター
SHS ハイトルクモーター
東京マルイサマリウムコバルトモーター
●セミオートのレスポンスが早い順(フルオートのサイクルも早い)
LONEX A2モーター
ASG 40Kモーター
G&Gイフリートモーター
●セミオートがオーバランする
東京マルイEG30000モーター
ハイスピード系はおおかたオーバーランするので、セクターカットが必要
●11.1vリポバッテリーを使用
18:1ギアであれば基本的にセクターカット必須です!!しないとほぼ確実に給弾不良やオーバーランします。モーターも、基本的に下記のもの以外は使用しない方が良いです。
AOLS ハイトルクモーター
G&Gバジリスクモーター
SHS ハイトルクモーター
ハイトルクモーターなので、元々フルオートのサイクルは遅いです。11.1vにしても回り過ぎないのが特徴です。
G&Gイフリートモーター
7.4vでも回転数が高いので、11.1vに対応していますが18:1では調整が難しいです。
12:1 13:1 14:1ギア
セクターカットせずに使用なんてできないと思います。7.4vでEG1000モーターを使用しても回転が早過ぎてギアが衝突します。
前提としてセクターギアは3枚、ピストン前側3枚はカットしないと使えませんでした。
経験したセッティング
●7.4vリポ、8.4〜9.6vニッケル水素バッテリーを使用
基本的にセクターカットした事で低下した初速を補うために強いスプリングを入れます。そのため、トルクの強いモーターとの併用が望ましいです。
●18:1と比べてセミオートのレスポンスが更に上がる
AOLS ハイトルクモーター
G&Gバジリスクモーター
SHS ハイトルクモーター
セミオートを主に使うのであれば、お値段的にもこの3つがお勧めです。
●18:1と比べてセミオートのレスポンスとフルオートのサイクルが更に上がる
G&Gイフリートモーター
1番トータルの性能が底上げできるモーターです。これを入れてしまうと中毒になって戻れなくなります。
11.1vも試したのですが、あまりお勧めできません。理由はシンプルに、耐久性が心配だからです。上記のセッティングは7.4vで十分なレスポンスが引き出せるだけではなく、7.4vだからこそ安心して使えると感じたからです。サバゲーにおいては耐久性やバッテリーの持ちゆえの「継戦能力」も重要なファクターです。11.1vではバッテリーがすぐになくなってしまったり、こまめな交換が必要になります。11.1vが必要なセッティングは、パーツが高価であったり、入手性が悪かったりと、汎用力が下がる傾向があります。
9:1ダブルセクターギア
これはギアだけでなく、使用するに当たって全体のセッティング見直しが必要になります。ピストンのストロークが少なくなるギアなので、必然的に強いスプリングを入れないと初速が引き出せません。そのため、トルクの強いモーターを選ばさるを得なくなります。
このギアは本体に掛かる負荷が最も高くなり、最も故障リスクが高くなるのと引き換えに限界の性能を引き出すためにある物と考えてください。
経験したセッティング
●7.4vリポ、8.4〜9.6vニッケル水素バッテリーを使用
AOLS ハイトルクモーター
G&Gバジリスクモーター
SHS ハイトルクモーター
G&Gイフリートモーター
まずタペットプレートの加工が前提となります。それによって給弾不良を解決させるため、強いスプリングが引ければ問題ありません。なので11.1vを使用しようが、モーターを更に性能が高いものに交換しようがただただサイクルとレスポンスが上がるだけです。
「なにそれ最高じゃん!」と思うかもしれませんが、その代償として、電動ガン本体がかなり繊細なものになります。もはやサバゲーというよりは、ワンメイクレースのマシンのように「このエンジンはこのシーズンだけ使えればいい」みたいな、刹那的な電動ガンになります。
これは私個人的な意見ですが、サバゲーには「継戦能力」も必要です。そんな状況で「いつ壊れるかわからない」「明らかにメンテナンス頻度が高い」なんて代物は正直使いたくないです。
100:200 100:300 ヘリカルギア
「めっちゃトルクに全振りしたギア」です。
100:200=24:1
100:300=27:1
とても強いスプリングを引くためのギアです。ヘリカルギアには静音性があると言いますが、歯の形状が違うので音が独特になります。
ギア自体のトルクが強いため、弱いモーターを使うことで低負荷のカスタムが可能ですが、セミオートがオーバーランしてしまったり、惰性でピストンの停止位置がバラバラになりやすいため、スプリングの強さで調整するか、電子トリガーでセクターギアの位置を制御するといった工夫が必要です。
経験したセッティング
●7.4vリポ、8.4〜9.6vニッケル水素バッテリーを使用
低速でフルストロークにする事で初速を引き出すセッティング
【M110くらいのスプリング】
東京マルイEG700モーター
LONEX A4モーター
東京マルイEG1000モーター
SPARKのINAZUMAモーター
H.T.Gの玄モーター
【M120〜M130くらいのスプリング】
AOLS ハイトルクモーター
G&Gバジリスクモーター
SHS ハイトルクモーター
●7.4vリポバッテリーを使用、エアブレーキピストン用
【M120くらいのスプリング】
東京マルイEG1000モーター
フルストロークで初速を出して、回転数を落とすことでギアの衝突を予防
●11.1vリポバッテリーを使用
強いスプリングで、なおかつサイクルとレスポンスを引き出すセッティング
【セクターカットとM130くらいのスプリング】
G&Gイフリートモーター
セクターカットは引き終わり3枚、ピストン前側3枚カット
ざっくりですがまとめてみました。皆さんのカスタムライフの助けになれば幸いです。