明日、君に会えたら…
明日、君に会えたら…
こう何度も思う。
『明日仕事休みだな、何しよっかな~』
さっき淹れたブラック珈琲を飲みながら呟く。
ソファーで横になり、スマホを見る。LINEを開くけど宣伝のメッセージだけ…
彼女からは何の連絡も来ていない。
彼女とは、夕暮れ時、あの桜の木の下で出会った。
春になり、仕事で心身ともに疲れていた僕は桜を見に行こうと河川敷にいた。
風がふわっと舞うとまるで映画のワンシーンかの様に桜の木の下にいた彼女が被っていた帽子が飛んできた。
慌てて彼女が帽子を追いに僕のところまで走ってくる。
僕も彼女の白い帽子を追う。
お互いに帽子をとろうとするとそっと手が触れた。
「あ、すみません。ありがとうございます」
彼女の優しい声が響く。
『あ、こちらこそすみません!!どうぞ』
ぱっと手を離して、彼女に帽子を渡す。
彼女の第一印象は儚げで可愛らしいといった雰囲気だった。
そんな彼女に僕は一目ぼれをしてしまった。
『この後、お時間ありますか???
よかったら一緒に珈琲でもどうですか』
こんなことは初めてだった、自分から声をかけるのは…
『是非!』
まさかの彼女の言葉に心が躍る。
彼女と喫茶店でお茶をしてとても楽しい時間を過ごしたものだ。
そんな彼女とLINEを交換して分かれた。
それから仕事が続き普段の生活に戻っていった。
あれから河川敷に行くも彼女とは出会えていない。
明日は休み、彼女は休みだろうか。
スマホを開くも連絡できずに1日を終える日々が続いていた。
いや、今日こそは連絡してみよう。
明日休みなのだから…
【明日、君に会えたら…】
END.