あしたは金曜日

私は、オタクというにはとても浅い人間なんですが。

でも人は「おまえはエグい熱量で推しのことを語れるから多分オタク」というので、一旦オタクと仮定します。

私にはムチャクチャ大好きな人がいっぱいいます。


偉人なら坂本龍馬。
俳優なら神木隆之介さん。
声優なら狩野翔さん。
作家なら柚木麻子さん。

ゲームなら「DREAM!ing」の久磨凛太朗。
アニメなら「ハウルの動く城」のソフィー。

全部同じ熱量で語れる。どのくらいこの人たちを愛しているか。
フードコートで喋りすぎて電気を消されたこともある。


そんな私にまた、推しができた。


フリースタイル・バスケットボーラーのZiNEZさん。

私はついぞバスケットボールに興味を示したことがなかった。マイケル・ジョーダンがすごいことしか知らない。第ゼロ感はかなり好みだ。

私はいわゆる動けないオタクなので、スポーツを絡めた人物にはもはや近付くことはなかった。

なぜ、ZiNEZさんなのか。



某番組、沼に囚われている人間に尋ねるヤツ。
それにアニソンダンスバトルが取り上げられていた。
私はアニソンも詳しくない。マジで何に詳しいんだろう。そう思いながらなんとなくみてしまう。
色んなすごいダンサーがそれぞれ好きなアニソンが流れたら飛び回って喜んだり膝から崩れながらメチャクチャかっこよく踊って場を沸かす。
最近五輪で導入されたブレイキンを筆頭に、様々趣向を凝らしたパフォーマンスが輝いている。

そのなかにバスケットボールがずっと跳ねている。


え、なんで?

ダンスやろ。ボールってありなんか。


ありらしい。マジでなんでもあり。
よく路上パフォーマンスでも見るコマをまわすやつ。ベイブレードじゃない、ディアボロ。
ディアボロパフォーマーの人もめちゃくちゃかっこよかったな。絶対有名なんだろう。りょ→さん。
ひいてはヒモなしけん玉でパフォーマンスやってる人もいた。めちゃくちゃすごかった。ヒモがないけん玉は自由自在で踊るためにあるようだ。

それがあるなら、バスケットボールもあるわ。


準々決勝まで進み、二人一組で戦っていく(戦うというか、魅せ合うみたいな感覚)この大会。
相手は私の知っている有名なオタクダンサー。
バケモノみたいなキレを持つネスさんと、
四十路ながらキレあるダンスと一生回り続けるヘッドスピンが超綺麗なムラトミさん。

そこに相対するのは、
私より若くてめちゃくちゃ実績を残している、
北海道が産んだ次世代バスケットボーラーのYOHさんと、
そのバスケットボーラーの礎を築いたZiNEZさん。



もう既にアツい。
これで飯三杯いける。

なんたって憧れのバスケットボーラーを誘って出来たコンビっていうのも良いだろう。すごい好きだそういうの。

互いに睨みをきかせつつ、リスペクトしながら曲を待つ。

ZiNEZさんがYOHさんの背中を叩く。


最初に流れたのは『ダンジョン飯』の「Sleep Walking Orchestra」。
BUNP OF CHICKENの曲だ。
またも恥ずかしながら聴いたことはなかったが、うわいいな〜青春だ、と思える雰囲気だった。


YOHさんの踊り出し。
グルグル回るボールと一体になって音ハメが為されていく。アクロバットが本当に綺麗。
両手を輪にして、地面と平行にして、頭を輪に入れその腕をボールが這う技。あれなんていうんだ?
はたまた服のなかにボールを入れて前宙。
マジックのようにボールが出てくるアクロバットだ。マジでかっこいいなんだこの人。
ミスってもリカバーする技を駆使してパフォーマンスを終えてムラトミさんに煽りを決める。


ムラトミさんが動く。多分私がこの人と同じ歳になったらこれはできん。まずこれは言わせてほしい。
普段はちょっとヤバいおっちゃんとして活動メンバーに認識されているらしいが、いざとなったらむちゃくちゃカッコいい。いつもちゃらんぽらんなのに無敵みたいな属性はずるい。
得意のヘッドスピンに入る。アイススケートのスピンと似た方法なのだろうか。減速したはずがポーズを変えて縮んだり伸びたりすると加速していく。サビの半分をスピンしていた。
その後も当たり前のようにブレイキンして何事もなかったように場に戻った。


二曲目。
ギガPの「ギガンティックO.T.N」。
既にBANされそうな空気を感じている。でもかっこいいのよこの曲。

ZiNEZさんの踊り出し。
軽々動いたと思ったらエグいBPMに合わせた超高速ボール技。あの、もう、ここで惚れたんですがマジでここだけ上手く言葉にできない。
さすが、祖。ボールと友達どころか伴侶だろ。

熟年夫婦のような息ぴったりの動きに、しかし少しの翳りがあったのは、


実はZiNEZさんはこの時、前日まで重度の熱中症で寝込んでいたのだ。体力がほぼ足りてない状態でフルパワーで動いている。
思うように動かない。だけど自分を慕う後輩のためにとんでもないダンスを魅せつけてきた。
人はボールを持ちながらあんな動きをすることはできない。YOHさんの前宙マジックのようにZiNEZさんもボールを脚で挟み、ボールの対空時間に合わせた自身の回転、もうワクワクさせられる。

サビ前で綺麗な音ハメをした後、ちらっと後ろのYOHさんを見やる。

するとまた彼も前宙をして、ダンクしたボールを回りながら後ろにパス。
YOHさんがジャンプして受け取り、
「ZiNEZさんが無理なところは、俺は絶対カバーします」
と意気込んでいた彼が任せてくださいと言わんばかりに前に出る。

二人のボールを持って、ボールの上にボールを乗せてバランスをとる。これ、理解しててもめっちゃムズい。
よく授業でふざけてやったけど出来たことない私は。
上のボールを「やばおぴ加減最高潮」で音ハメして上げて、そのボール二個でまたパフォーマンス開始。何やら大業っぽいのが来そう。


ポンっと上がったボール一個、片手でボールスピンをしたまま体が落ちていく。逆立ちした。



「見てててて      ね?」


逆立ちした足にボールが吸い込まれる。
ZiNEZさんも「俺の後輩カッコイイっしょ」と言わんばかりのキメサムズアップ。




ンま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜カッコいい!!!!!



まあこのコンビ技で二人とも何者!?ってなったんですよね。



そして最後のネスさん。
バケモノ級のキレ技。怒ってるわけじゃない。
タットの使い手。この人のおかげでタットを知った。手首を直角に曲げながら腕全体でカクカク踊る、それを異常なスピードでこなす。

見てる人は「あれ?二倍速にしてたかな」と思う。

嘘ほど速い。
そして彼のアニソン愛。
この人はアニソンイントロクイズで無双しているらしい。イントロに入るギターの擦り音みたいなので曲名がわかる。それだけでなんかヤバいと思う。

ポンという効果音に合わせて顎を押し上げ倒れ込む。体幹がしっかりしてるのですごい綺麗。

そしてヒートアップする曲の速さにもムチャクチャ楽しそうに高速ダンスするネスさん。

プッパラッパッパピッパッパーみたいな笛の効果音が曲にあるのだが、そこに笛を吹くようなモーションをまたキレッキレにパフォーマンスする。
「俺があきばっか〜のじゃああああ!!!!」
と怒鳴るネスさん。
その言葉通り、結果は彼らネスムラトミ二人が勝ち抜いた。



そんなZiNEZさんという人物にハマったのも、
私が元来「最強の年長者」属性に弱いのもあるのかもしれない。実際に某最強呪術師の格好でパフォーマンスしている動画を見た時は大笑いした。
マジでそっくり。



しかしまだパフォーマンスも全部見切れていない。
FMヨコハマの朝金曜にやっているラジオも聴き始めたばっかりだ。
まだまだZiNEZさんのことをこれっぽっちも知ることができてない。


がんばらねば。
まずはバスケットボールを探すところからかな?
なんとなくやってみたくなってしまったのだ。

しかし家周辺は田舎すぎてスポーツ用品店がない。
じゃあスポーツ用品店を探すところからスタートしなければいけないじゃないか。

推し事、の道は険しい。

まずはさっさと寝て朝のBrand New! Fridayを聴くことから始めなさい。

それではおやすみ。
明日はいい日になるかしら。風邪が治っていますように。

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