久磨凛太朗という男

見るに堪えないものを書きたくなっている。
世界一好きな人間のことを、拙いながら書かせていただきたい。











私が今でも死ぬほど好きなキャラクター、『DREAM!ing』の「久磨凜太朗」と出会ったのはおよそ六年前。ちょうど受験期のピリついて最悪に情緒が乱れてほぼ勉強にも身が入らなかった時期。正直思い出したくもないのでこんな感じの時期でしたで終わりたい。

見た目はポッピングシャワーみたいな髪色に前髪を一部上げたポンパドール、着崩しまくった制服。チャラついた人だと少し敬遠していた。
台詞も自分のことをどこまでも信じ、言い方を考えなければナルシシストまでいくような行動。俺のオーラに言葉失っちゃってる?と聞く始末。

キャラクターとしては、高校生で生徒会長をしているそうだ。

しかし何故か、
「久磨会長ではなく、くまりん会長だ」
という台詞で大笑いしたことを今でも覚えている。


あだ名で呼ばれないと振り向きもしない、
小さい頃から格闘技を究め続け、日本チャンピオンにも君臨した実力を世界にも向けたくて、称号を一からリセットして世界中を旅している。
おちゃらけた性格だが、会長としての威厳が凄まじい。
普段まともに仕事をしないが、判断力や自身の哲学的な考え方が周囲を納得させる説得力となる。
そして何より、「元」チャンピオン。


彼は一回、壮絶に負けている。勝つことに執心な相手にボコボコにされ、リングで倒れたのだ。

自身のあの負けをどうにか解消できないかと、称号をすべて収めて世界中を旅する。しかし彼曰く、「逃げ続けている」のだ。


かのお祭り男のように、各国の祭りや大会に参加して力試しを続ける日々。
旅をし続けて高校生で留年もしている。


彼にはかつて、同じように強くなろうとする同士がいた。
歳が一つ下で、病気を抱えて生きるその人に憧れを抱かれ「あなたのようになりたい」と言われた言葉に、
「ハートが降参してっから弱いんだ。ハートを取り戻すのは今こっからできんだろ!」
と一喝し、彼に同じ土俵で頑張ろうと背中を叩いた。

そんな彼が、道を同じくして病気のために頑張り続けることができなくなっていた。そんな彼を差し置いて強くなることに躊躇いができたのか、彼の中に迷いが生じてしまう。


「ずっと腐っていた」と凛太朗は言う。


彼は弱くなったことを、負けたことを病気の彼のせいとは思いたくなかった。
何か理由をつけて、俺はお前のせいで負けたんじゃないと、その理由を探していたのだろう。しかしそれは見つかることがない。
彼の中で納得できない負けがいつまでも残り続けていた。


そこにとある人物がやってくる。
「腐っている暇はない」と無理矢理リングに立たせ、世界最強といわれるプロボクサーとの対戦を確立させた。
凛太朗は元日本チャンピオンであれど、実力は天地の差で負ける試合を見据えてリングに上がる。だが彼は、必死に闘って負ける試合を病気の彼に見せるために試合を申し込んだのだ。彼のせいではない、実力が敵わないまま負けたと証明するために。それはプライドを捨てた、病気の彼への意思表示だった。
ボコボコに殴られ、小馬鹿にされながら煽られ続け、しかし徐々に動きを改善していく。相手も急成長する彼に戸惑いながら本気になっていく。

たまらず怒りが頂点になった相手に、急所を殴り込まれる凛太朗。
肋骨が折れ、ボロボロになった顔は口からボタボタ血が垂れている。
失神したまま、テンカウントが過ぎていく。









「空白の3年間?んーー、そーね平たく言うなら武者修行っつーか自分探しの旅?」









「腐って、酸っぱくなって、食えたもんじゃなくなって、土に埋めたって、」


「地球がなくなったって、分解できない代物になったもの。」



「弔うなら今ここ、ここを置いて他にない。」









「まだ、しぶとく息があるよ、このしにぞこない」










死にきれない凛太朗はテンカウントが過ぎる前に、
死ぬ気で起き上がった。


血まみれのマウスピースを、背中を押してくれた恩人にはめてもらう。
よし、と立ち上がる姿に会場はどよめきと歓声が入り交じる。

「クレイジーだな」と笑う相手に「思ったよかタフっしょ……?」とニヒルに笑う。


互いに足を止め、至近距離で殴り合う。
目にもとまらぬパンチを入れ込みまくる二人は、おかしくなって笑い出す。
汗と血が混じる恐々としたリングに、どこか全てを捨てて清々しい彼が立っていた。






っていう話が、もう死ぬほど好きでして。
『DREAM!ing』の脚本の方が公式で明言されていないのですが、少なくともこの方がメイン(かも?)という方が一人いる程度。
こんなにもドラマチックだと思えるストーリーの生みの親にすら感謝を伝えられないとは……。心苦しい限りです。


話は本当に評価されていて、何年も連続してアニメ化してほしいアプリゲーム一位を受賞しているほどの実力。サービス終了したのは別の要因じゃないのかしら……。


そんな彼にもう一度会いたいと私は切に願っています。
この話を反芻してかみしめて、味がなくなるまで噛んだら惜しみながら飲み込んで、
その間までに彼ともう一度会えることが、私の一生の夢になりました。
彼がいるから頑張れる。生きようとすることが出来る。





あーーーーー語れてよかった!!嬉しい!!!!!

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