地方の子育てと体験格差~20年の園長経験から見えた現実

園長を務めて20年が経ちました。その間、多くの子どもたちの成長を見守り、卒園証書を手渡してきました。この経験の中で、子育て環境や子どもたちの体験の幅について多くのことを考えさせられる機会がありました。本稿では、私が感じた「体験の違い」や地域全体での取り組みについて考えをまとめてみます。


1. 学力や進学に対する意識の違い

長男が通った私立小学校では、大学入試を見据えた講話や個性的なカリキュラムが用意されており、進学に対する意識が高い環境でした。一方、次男が通った地元の公立小学校では、進学や学力についてそれほど重視していない家庭も多いように感じました。この違いは地域性や家庭の状況、保護者の価値観の違いによるものだと思います。

どちらが良い悪いという話ではなく、進学や学力に対する考え方も多様であると実感しました。子どもたちが自分の進路を考える際に、どんな選択肢があるのかを知る機会を増やすことが大切ではないかと考えています。


2. 体験の幅を広げることの大切さ

次男は地元で友達と一緒に塾や旅行などさまざまな体験を楽しむことができましたが、家庭環境や保護者の経験により、こうした機会を持つことが難しい子どもたちもいます。例えばスキー体験の募集をした際に「高い」と感じる声が多かったのですが、私としては非常にお得だと感じる内容でした。このようなギャップは、家庭の状況や保護者の経験の違いから生まれるものだと感じました。

親の経験や価値観が子どもたちの体験に影響を与えることは避けられませんが、地域全体で体験の選択肢を広げる工夫が必要だと感じます。


3. 地域特有の生活スタイル

地方では、都市部と比べて子どもたちが親の助けを必要とする場面が多く、公共交通機関の利用経験が少ないなど、生活スタイルに独自の特徴があります。しかし、それは地域の魅力でもあり、子どもたちにとって安心感のある環境が提供されているとも言えます。

また、地域の方々はとても善良で一生懸命に生活をされており、日々の中で大きな疑問を持つことなく充実した時間を過ごしているように見受けられます。


4. 地域全体で体験の機会を考える

地域の特性を活かしつつ、子どもたちに多様な体験を提供することは次世代の可能性を広げる鍵になると感じます。特に、保護者が忙しい中でも気軽に参加できる活動や、地域の特色を活かしたプログラムを増やすことが重要です。


5. 終わりに

地方に暮らすことの魅力を再確認しながら、子どもたちが豊かな体験を積めるよう、地域全体で環境づくりを進めていきたいと願っています。これからも「気づいた大人」が一歩を踏み出し、子どもたちに明るい未来を届けられるよう努力を続けていきたいと思います。

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