文化祭の総監督をやった話
僕は文化祭の総監督をした。
理不尽な目にもあったし、辛かった。
気持ちを落ち着かせるためにここに記す。
6月、僕は、頭がいいからという理由で総監督に選ばれた。僕のクラスはうるさくて、人の話を聞かない人が多くて、他人任せな人が多い。どんな感じになるのか不安だった。
7月、僕と文化委員の平井はパンフレット作成の締切前日なのに脚本が一切考えられていないことを危惧していた。僕の学年は仮装ショーアップというダンスをするのだが、テーマは青春の恋愛ということだけしか決まっていなかった。僕と平井、もう1人の文化委員、パンフレット作成係の人を集合させ、脚本を考えることになった。文化祭実行委員の人に許可を取ろうとしたが、「他の人らと話してるから1週間は待って」というLINEが届き、1週間待っていたら間に合わないこと、文化委員の人たちと決めることを伝え、話し合った。ざっくりとした段取りを決め、解散になった。僕は少し学校に残り、どの曲にするかを決め、脚本を作っていた。
翌日、いつもより30分ほど早い時間に教室に着き、1人で構成を練っていた。すると、パンフレット作成係の人が教室に来て、考えるのを手伝ってくれ、その日の昼休み位に完成させた。出来上がった脚本を色んな人に読んでもらい、担任の先生(岸本とする)に見せた。岸本先生にWordでデータ化するよう言われ、その日の放課後に全部データ化し、提出した。
数日後の終業式前日、岸本先生に明日のLHRの時間に主役などを決めることを伝えると、1つのカップルの恋愛しかなく、からかう人が出てくると言った理由でもう一度脚本を考え直すよう言われ、僕は1人で1から考えることになった。放課後、近藤と中井、僕、幼なじみ(他クラス)の4人で残りながら少し岸本先生の愚痴をこぼしながら1人でWordを使い、3分の1程度まで作成した。それから、家に帰り、夜の11時程度までWordを使い作成した。
翌日、新しく作ったものをクラスメートと岸本先生に見せ、主役を決めることになった。クラスメートには「前の方がよかった」と愚痴を言われてしまったが、なんだかんだ決まった。
夏休み、僕たちのクラスは集まって立て看板を作成することになった。デザインを作る人がいなかったため、必然的に僕の仕事になり、夏休みの取り組みが始まる3日前位に作成したデザインでやることになった。15人ほど集まったが、作業したのは僕、副監督(紗菜とする)、立て看板のリーダー(未来とする)の3人でデザインの線画を完成させた。
2学期に入り、文化祭の取り組みが始まった。1番しんどかった。踊りの練習をしようものなら、主役の人たちが話を聞かない、立て看板係の人たちは、線画をしてくれた未来と心優しい立て看板係(莉央とする)以外はスマホをいじる、他の人たちは他クラスやコンビニに勝手に行くといった自由奔放とした感じであった。僕は副監督の紗菜と立て看板のリーダーである未来に相談し、アドバイスを実行したが、話を聞いてくれることは無かった。立て看板は僕、紗菜、未来、莉央の4人で完成させ、大小道具は主に道具係のリーダー、僕、近藤、平井の4人で完成させた。
文化祭の1週間ほど前に、脚本を新しく作り直せと主役の人達に言われた。僕は「間に合わない」と言ったが、色々文句を言われたため、主役の人達と考え、次の日に岸本先生とクラスの人たちに新しい脚本のデータを送った。
少し経った時、主役の男子2人が「どっちか女装するし、俺らでカップルをしたい」と言い出した。僕は別に同性愛や男装女装は賛成派だが、岸本先生などにダメだと言われているため止めた。しかし、男子たちが「LGBTQを馬鹿にしているのか」と怒り出し、手がつけられなくなった。そして、僕と紗菜でカップルをやるように言われた。副監督は女子で、僕も一応女子だ。普段から男装していると言われているが、流石に僕が怒られるというより減点をくらう可能性があるため、断ろうとしたが断れず、結局やることになってしまった。そして許可を貰うために岸本先生のところに行こうとしたが、周りの人に全力で止められ、「俺らが怒られる。やめてくれ。」と説教され学年主任のところにいくことになった。一応許可は貰ったため、岸本先生に直接的に「同性愛を扱います。」とは言わなかったが、「一般的だと言われる恋愛と、マイノリティだといわれる恋愛をすることになりました。」と言った。
文化祭の前日、その日は1日中文化祭準備で、当日の流れを把握するためにみんなの前で話すことになった。僕のクラスの悪い所が出てしまい、全く話を聞かなくなった。岸本先生が見回りで教室に来た時に、「流れが把握出来ていない人が多いので、教室でのリハーサルの時間を延ばして欲しいです。」と頼むと、少し呆れた顔で頷いた。昼食が終わり、道具などが完成してみんなが休憩している時、岸本先生が教室に来て、教室でリハーサルをした。「もう少し完成度があったら良かった」などと言われたが、みんなが当日の流れを把握し、教室でのリハーサルは終わった。
数時間経ち、放課後になったが体育館でのリハーサルが1時間後にあるため、みんなで居残りをすることになった。家が学校から遠い組はすごく暇でやることを失っていた。すると、涼がkahoot!を見せ、「これで時間を潰そう」と言い、紗菜や近くにいた暇そうな人達を誘い、6人で全員一致するまで終われませんをした。60問ほどやったが、1度もそろうことは無かった。
1時間程たち、体育館に行く時間になったため、僕と涼、紗菜、近藤、平井の5人で大小道具をもち、体育館に行った。体育館について、自分たちのリハーサルを待っている時、1番忘れてはいけない道具(ラブレター)を忘れてしまったことに気づいた。平井に僕の体育館シューズを持ってもらうよう頼み、教室まで全力で走ってラブレターを取り、リハーサルに間に合うように走って戻った。平井にお礼を言い、体育館に入って他クラスのリハーサルを見ていたのだが、呼吸がどうしても整わず、手が痺れだした。涼には「お前、はあはあなってるん長すぎる、落ち着け」と言われたが落ち着くことが出来なかった。平井や未来、莉央、紗菜には「大丈夫?」と聞かれたが、「しんどい」とは言えず、「大丈夫」と答えた。平井には「もう、こういうのは辞めてな。次、なんかあったら俺が行くし。」と言われた。僕は「平井に迷惑はかけられへん。一応総監督なんやし、僕がやらな仕事してないんやと思われる。」と言ったが、「俺は君より足速いし、夏目くんは十分仕事してる」と言われた。僕たちのクラスのリハーサルが始まったが、手が痺れ、ふらふらする状態だった。「流石に僕のせいで出来なくなったらダメだ」と思い、自分の出番の直前までは壁にもたれていたが、自分の出番の時は真面目に踊った。演技が終わり、「ご覧頂き、ありがとうございました!」と言い、舞台袖に戻った。舞台袖に戻った時、緊張から解放されたことや苦しさで壁にもたれて動けなくなっていた。莉央に「鈴ちゃん、大丈夫?」と聞かれ、「大丈夫、ちょっと踊りで疲れちゃってるだけかも」と答えた。
教室に戻り、自分たちが踊ったものを見ている時も苦しく、「ああ、これ過呼吸だな。」と思い、何かあった時のために置いてあった紙袋を取り、ペーパーバック法をやろうとしたがなかなか力が入らなく、効果がなかった。
色々終わり、解散し、自分の荷物を整理して帰ろうと立った時、過呼吸がひどく自分の席に戻った後に倒れ込んでしまった。「やばい、立たな」と思ったが、苦しくて力が入らなく、その場でうずくまることになった。未来や莉央、紗菜に「大丈夫?」と聞かれ、初めて「しんどい、苦しい」と答えられた。未来に「手、貸して。怖い」と言い、未来の手を握っていた。僕は、過呼吸になって3人に迷惑をかけている罪悪感や自分の不甲斐なさ、次の日にある本番の不安で頭がいっぱいになり、「ごめんなさい、ごめんさい」と繰り返し言っていた。道具の製作をしていた平井が「大丈夫?」と聞いてくれていたが、僕は怒られるのだと勘違いして「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、こんなのでごめんなさい。迷惑かけてごめんなさい」とパニックになってしまった。担任には、「夏目さん、早く立ち直りなさいよ。」と言われてしまい、「ごめんなさい、ごめんなさい、早く立ち直ります。」と余計にしんどくなってしまった。過呼吸が酷くなり、筋肉が固まってしまい、手を曲げることも伸ばすことも出来なくなってしまった。紗菜が保健室の先生を呼びに行き、初めて体調不良で保健室に行くことになった。なんだかんだ治り、未来達3人に「迷惑かけてごめん」というと、3人は「迷惑ちゃうで、無理せんときや」と言ってくれた。
本番当日は何事もなく、成功させることが出来た。何故か2位をとることが出来、クラスの人たちは驚きすぎて声が出なかった。
文化祭最終日、掃除を終わらせ帰ろうとしたら担任に呼ばれ、職員室前で話をした。説教の方が正しい気がする。内容は文化祭の取り組み全般の説教、脚本の内容(同性愛が入った)の説教、当日の踊りについての説教だった。1時間15分ほどされた。さすがに怒りそうになった。
全体的に見て、当日以外は辛かった。